【植物工場の歴史】特に最近の日本のトレンドはどうなっている?

こんにちは、今村です

食料問題、環境問題、そして持続可能な社会への関心が世界中で高まる中、近年注目を集めているのが「植物工場」です。

植物工場とは、人工的に環境を制御した施設で植物を栽培する技術です。太陽光に頼らず、光、温度、湿度、水、栄養などを最適に管理することで、従来の農業では不可能だった高品質で安定的な生産を実現します。

この記事では、植物工場の歴史的背景や発展の経緯、そして特に最近のトレンドについて解説します。

目次

植物工場の発展の歴史

植物工場は、1980年代から徐々に注目され始め、これまでに3回のブームを経験してきました。

第1次ブーム(1980年代後半)

  • 1985年の筑波科学万博で日立が展示した「回転式レタス生産工場」が大きな注目を集め、植物工場研究の端緒を開きました。
  • 1987年には世界初の「植物工場システム展」が開催され、多くの企業や研究機関が参入し始めました。
  • この時期は、主に技術開発と実証実験が中心でした。

第2次ブーム(1990年代)

  • キューピー、JFEライフなど大手企業が参入し、本格的な植物工場の建設が始まりました。
  • しかし、当時の技術レベルやコスト面での課題から、普及には至りませんでした。

第3次ブーム(2009年以降)

  • 2009年のリーマンショックで消費主導型の産業が大きな打撃を受けた一方、医療や農業などのソーシャルビジネスは比較的安定したことから、植物工場への注目が高まりました。
  • 2011年の東日本大震災では、食料供給の安定確保の重要性が改めて認識され、植物工場への期待が高まりました。
  • 技術革新が進み、コスト削減や生産効率向上を実現したことで、本格的な普及期に入りました。

日本の植物工場:現状と課題

日本の植物工場は、世界に先駆けて発展してきましたが、現状では依然として課題も多く存在します。

日本の植物工場の種類と規模

日本施設園芸協会の調査によると、2023年2月時点で把握できている植物工場は、以下の通りです。

  • 太陽光型: 太陽光を主光源とし、補助的に人工光を使用するタイプ。187箇所。
  • 太陽光・人工光併用型: 太陽光と人工光を併用するタイプ。43箇所。
  • 完全人工光型: 人工光のみを使用するタイプ。194箇所。

栽培品目と収益性

  • 太陽光型: トマト類(71%)が主流。
  • 人工光型: レタス類(91%)が主流。
  • 併用型: 多様な品目を栽培。

労働時間当たりの収量や単収(単位面積当たりの収穫量)が大きいほど、黒字や収支均衡の割合が高くなります。

しかし、直近の決算では、人工光型は電気代比率が27%と高く、コスト面での課題が大きいことが明らかになっています。

課題

  • 高コスト: 人工光型は電気代が高く、収益安定性に課題。大規模施設では設備投資額も高額。
  • 技術開発: 生産効率向上、省エネルギー技術、害虫対策などの技術開発が求められる。
  • 市場開拓: 消費者の理解と需要拡大、新たな販路開拓が課題。
  • 人材育成: 専門知識と技術を持った人材不足が課題。

当サイトでは、これらの課題を解決するためのサポートも行っています。

特に、植物工場の収益力を高めるなら、以下のコンテンツが非常に参考になります。

検索トレンドからみる近年の関心の変化

ところで、「植物工場」は世間からどのくらい注目されているのでしょう。

日本の場合、「植物工場」というキーワードの検索需要は2010年頃をピークに下落し、2020年頃から横ばいです。

とはいえ、円安や物価高など、植物工場業界には厳しい社会情勢が続く中で、下落傾向は止まっています。

これは、植物工場に対して一時的なブームが終わり、一定の水準で定着してきたことを示唆しているのかもしれません。

一方、世界的に見ると「vertical farm」や「indoor farm」といった英語のキーワードは2006年頃からずっと増加傾向にあり、都市型農業への関心の高まりがうかがえます。

実際、世界的に見ると植物工場の市場規模は拡大し続けており、今後もその傾向は続く見込みです。

植物工場の展望:未来の農業を創造する

植物工場は、気候変動や人口増加による食料問題、都市化による耕作地の減少、環境負荷の低減など、現代社会が抱える様々な課題解決に貢献できる可能性を秘めています。

持続可能な農業への貢献

  • 食料安全保障: 災害や気候変動の影響を受けにくく、安定的な食料供給を実現できます。
  • 環境負荷軽減: 農薬や化学肥料の使用量を減らし、水資源の利用効率を高められます。
  • 地域活性化: 都市部での食料生産は、輸送コスト削減や雇用創出にもつながり、地域活性化に貢献します。

技術革新と市場拡大

  • IoT技術: センサーやAIを活用した自動化・最適化により、省力化と生産効率向上を実現。
  • LED照明: 高効率なLED照明の開発により、電気代削減と光合成効率向上を実現。
  • 垂直農場: 都市部の限られたスペースを有効活用した垂直農場は、食料生産の新たなモデルとなります。

今後の展望

気候変動や人口増加が進む中で、食料の安定供給という観点から植物工場の重要性はますます高まっていくでしょう。都市部での食料生産は輸送コストの削減にもつながるため、SDGs(持続可能な開発目標)の観点からも注目されています。

一方で、初期投資の大きさやエネルギーコストの問題など、普及に向けた課題も残されています。循環型・再生型エネルギー源の確保、自動化・最適化による省力化と生産性向上、新たなマーケットの確保など、克服すべき点は多岐にわたります。

植物工場は、食料問題、環境問題、そして社会課題解決に向けて、大きな可能性を秘めた技術です。技術革新、政策支援、社会全体の理解と協力によって、植物工場は未来の農業を創造し、より持続可能な社会を実現するための重要な役割を担うでしょう。

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植物工場が盛んな国はどこですか?

植物工場は、オランダや日本、アメリカなどで盛んに研究・実用化が進められています。特にオランダは、植物工場の先進国として知られ、1990年代には施設園芸の面積の100%を植物工場が占めるまでに普及が進みました。一方、日本は植物工場の歴史が古いものの、オランダほどの爆発的な普及は見られていません。

植物工場はなぜ赤字なのでしょうか?

植物工場が赤字になる主な理由は、初期投資とランニングコストの高さです。特に人工光型の植物工場では、照明などの設備投資額が大きく、減価償却費の負担が重くのしかかります。また、電気代などのエネルギーコストも高く、総原価の27%を占めています。こうしたコスト面での課題が、植物工場の収益性を圧迫しているのです。

植物工場の欠点は何ですか?

植物工場の最大の欠点は、経済性の面での課題です。初期投資とランニングコストが高く、収益性を確保するのが難しいことが問題となっています。また、現状では栽培品目が葉物野菜など一部の作物に限られており、多様な作物への対応が求められます。さらに、完全人工光型の植物工場は、電力消費量が多く、環境負荷の面でも課題があります。

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