農業の未来だけど…普及しない植物工場、本当の活用方法3選

こんにちは、今村です

農業分野の技術革新の一つといえば「植物工場」。

植物工場とは、温度や湿度、光、二酸化炭素濃度などの環境条件を人工的に制御し、周年・計画生産を可能にした施設のことを指します。

従来の露地栽培や温室栽培とは異なり、外部環境の影響を受けにくいのが大きな特徴。

植物工場のメリットやデメリットは、以下の記事でも詳しく解説してます。

で、この記事のテーマは、そんな植物工場の目的と目標を整理しつつ、植物工場をどう活用すべきだろう?ってところ。

長年、植物工場の現場にいた私の視点から解説していきます。

目次

植物工場の目的と目標

まず、世の中の植物工場は以下のような目的と目標を掲げていますよね。

  • 高品質な農作物の安定供給
  • 農作物の計画的生産
  • 農業の効率化と省力化
  • 農薬を使わない安全な栽培の実現
  • トレーサビリティ(生産履歴の追跡可能性)の確保

植物工場では、最適な環境制御により作物の生育をコントロールできるため、品質のばらつきが少ない農産物を周年安定的に供給できます。なので、需要に応じた計画生産も可能になります。

また、自動化技術の導入により農作業の効率化と省力化を図れます。まぁ現時点では、言うほど進んでないんですが。私が業界に入った2011年頃よりは進歩してます。

閉鎖された環境で栽培するため、農薬の使用を最小限に抑えられるのも大きな目標の一つです。栽培履歴を詳細に管理できるため、トレーサビリティの面でも優れています。

このように、植物工場は「安定」「安全」「効率」という付加価値を農作物に与えることを目的としているのです。

これらの目的を実現するための植物工場の特徴

植物工場には、上記の目的を達成するための重要な特徴があります。

  • 外部環境から隔離された閉鎖空間
  • 高度な環境制御技術の活用
  • 病害虫の侵入リスクが低い
  • 立体栽培による高い空間利用効率
  • データに基づく栽培管理の徹底

植物工場の最大の特徴は、外部と遮断された閉鎖空間で栽培を行う点です。

温度や湿度、光量、二酸化炭素濃度などを人工的に制御することで、季節や天候に左右されずに理想的な栽培環境を実現できます。これにより、周年での安定生産が可能になるというわけ。

また、病害虫の侵入を防ぎやすいのも大きな利点です。施設内への虫の侵入を物理的に遮断し、衛生管理を徹底することで、農薬の使用量を抑えられます。安全で高品質な農作物の生産につながります。

多段式の棚を利用した立体栽培により、限られたスペースを有効活用できるのも植物工場の大きな特徴です。狭い面積でも効率的に生産できるため、施設の生産性を大幅に高められます。この部分が儲かる植物工場になるためのキモです。

さらに、センサーやIoT技術を駆使し、栽培環境や生育状況を常にモニタリングするのも植物工場ならでは。集めたデータを分析し、最適な環境制御や栽培管理につなげることで、高品質な農作物を安定的に生産できるのです。

このように、植物工場の特徴は、冒頭で述べた目的を実現するために非常に重要な役割を果たしているのです。

植物工場の活用方法3選

前置きが長くなりましたが本題です。

上記のような植物工場の特徴を活かせば、様々な場面で活用できます。具体的な活用方法を見ていきましょう。

1.都市近郊での新鮮野菜の生産

植物工場は、農地が少ない都市部でも大規模な農業生産を可能にします。狭いスペースで効率的に栽培できるため、都心のビルの中や地下空間などでも設置できます。

消費地の近くで生産できるため、収穫してすぐに出荷できる「地産地消」の新鮮野菜の供給が可能になります。輸送時間が短いため、鮮度の高い野菜を消費者に届けられるのです。

特に、レタスやサラダ菜、ハーブ類など、鮮度が命の葉物野菜の栽培に植物工場は最適。植物工場産の新鮮野菜は、食の安全・安心への関心の高まりもあって、日本のみならず世界でも、今後ますます需要が高まるはずです。

2.高付加価値な作物のブランド化

近年、トマトやイチゴなどの野菜のブランド化が進んでいます。

植物工場では、品種改良と最適な栽培環境の実現により、このようなブランド野菜の生産にも力を入れています。

例えば、高糖度のトマトを栽培する植物工場では、水や養分の管理を徹底することで、糖度10度以上の高品質なトマトを安定的に生産できます。このような高付加価値な野菜は、贈答用や高級スーパーでの販売など、プレミアムな市場での需要が期待できます。

植物工場産の野菜は、品質の高さと安全性で差別化を図ることができます。付加価値の高い作物のブランド化が、植物工場のビジネスチャンスを広げているのです。

3.限られた土地での大量生産

植物工場なら、狭い土地でも立体的な栽培が可能です。単位面積あたりの収穫量を飛躍的に高められるのです。

人工光型の植物工場では多段式の棚を使った立体栽培を行います。通常の露地栽培の10倍以上の収穫量を実現している例もあるほどです。

限られた敷地面積しかない都市部でも、植物工場なら効率的に大量生産ができるのです。単位面積あたりの収益性が高いため、植物工場の経営にも大きなメリットがあります。

でも注意して!植物工場事業の落とし穴

ここまでの解説で終わるとよいのですが、そう良いことばかりでもありません。

というのも、「植物工場は赤字だらけ」という話を聞いたことがあるかもしれません。

実際のところ、栽培技術が未熟だったり、現場にノウハウが足りなかったりで、現場がうまくいかないケースは山ほどあります。

私はそんな現場をいくつか見てきましたが、従業員の方々は努力していても、知識が無いのでどうしようもない…。

そんな苦しい状態に陥っている植物工場は多いのです。

そうなってしまう原因として、具体的で現場で役立つノウハウは、手に入れる方法が少ない。この点が大きいと思います。

そこで、私のサイトでは、私が長年かけて現場で磨き上げたノウハウを提供しています。

植物工場の現場力を高めるには、以下のコンテンツが強力です。

おわりに

植物工場は、環境制御技術と自動化技術を駆使した、次世代の農業生産システムです。

天候や場所に左右されず、計画通りに安全で高品質な農作物を育てられるのが大きな強みです。

都市農業の活性化、高付加価値作物のブランド化、限られた土地での効率的な大量生産など、植物工場の活用方法は多岐にわたります。

生産者の創意工夫次第で、さらに活用の幅は広がるでしょう。

植物工場での栽培は、本当に安定しているのでしょうか?

植物工場では高度な環境制御技術を駆使しているため、天候や季節に左右されずに周年で安定的に栽培できます。温度、湿度、光、二酸化炭素濃度などを最適な状態に保つことで、作物を計画通りに生産できるのです。従来の農業と比べ、収量や品質のばらつきが格段に小さくなります。

植物工場は経済的に成り立つのでしょうか?

初期投資や光熱費などのランニングコストは高めですが、単位面積あたりの収穫量が非常に大きいため、十分に採算が取れる可能性があります。また、高付加価値な作物を生産したり、契約栽培により販路を確保することで、さらに経済性を高められます。ただし、事業計画をしっかりと立てることが重要です。

植物工場で使われる水耕栽培は、環境に負担をかけるのでは?

植物工場では養液を循環利用するため、水の使用量は土耕栽培よりも少なくて済みます。また、施設内で完結するため、施肥や農薬の影響が外部に出ることはありません。さらに、植物残渣などの廃棄物も減らせます。適切に管理された植物工場は、むしろ環境負荷を減らせる農業形態と言えるでしょう。

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