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植物工場における移植・定植のコツ


こんにちは、今村です
植物工場の栽培プロセスで、「移植」 と 「定植」 は、その後の生育と収量を大きく左右する重要な工程です。
なぜなら、限られた空間と資源を最大限に活用し、
できるだけ多くの野菜を安定供給することが収益に直結するためです。
この記事では、実践的な観点から移植・定植の違い、効率的な作業方法、そして収益を最大化するためのポイントについて解説していきます。
ぜひ本記事を参考にして、日々の業務に役立ててください。


移植と定植の違いを理解する


植物工場で栽培プロセスを最適化するには、「移植」と「定植」の違いを正確に理解しましょう。両者は似ていますが、目的と実施タイミングが明確に違います。
移植とは、苗が育苗段階から次の生育環境へ移す工程です。
この段階では、種子から発芽した小さな苗をより大きなスペースに移し、根の発達と初期生育を促進します。
移植の主な目的は、限られたスペースを効率的に使いながら、苗の健全な初期生育を確保すること。適切な移植は根を発達させ、植物の基礎体力を養うために重要です。
一方、定植とは苗を最終的な収穫スペースへ配置する工程です。
この段階では、十分に育った苗を収穫までの期間を過ごす本格的な栽培システムに移します。
定植の主な目的は、限られた栽培スペースを最大限に活用しながら収穫量を最大化すること。定植時の配置や密度は、最終的な収穫物の品質と量に直接影響します。
植物の生育サイクルは、種子発芽→育苗→移植→生育→定植→収穫という流れで進行し、移植は初期段階、定植は中期から後期の工程です。
各工程を最適化していくには、それぞれの目的と効果を理解することから始めましょー。
なぜ移植と定植が収益を左右するのか
植物工場は初期投資や運営コストが高いビジネス。すべての工程で効率化が求められます。
特に移植と定植は、以下の理由から収益を大きく左右します。
まず、適切に移植と定植をしなければ、植物の健全に生育できません。移植時のストレスを最小限に抑え、定植後の環境を最適化することで、生育日数の短縮、病害リスクの低減、収穫量の増加につながります。
次に、スペース効率の最大化という観点があります。
ここを理解することが、栽培工程を最適化するポイントです。
植物工場の栽培面積は限られているため、各成長段階に合わせた最適な密度で栽培することが重要です。育苗段階では高密度での管理が可能ですが、生育が進むにつれてより多くのスペースが必要になります。移植と定植をタイミングよく行うことで、限られたスペースから最大の生産量を引き出すことができます。
また、人件費の最適化も重要な要素です。植物工場の運営コストのうち、人件費は約30〜40%を占めるとされています。移植・定植作業の効率化と標準化によって作業時間を短縮し、人的ミスを減らすことができれば、直接的なコスト削減とともに品質向上も期待できます。
これらの要素が複合的に作用することで、移植と定植は植物工場の収益性に直結するってわけです。
移植と定植の技術:収穫量を最大化する成功ポイント


植物工場での収益性を高めるには、移植と定植の質が大きく影響します。
実際の現場で私が取り組んできた経験から、どちらの工程も苗の生育と最終的な収穫量を左右する重要なポイントがあります。ここでは、現場ですぐに活かせる具体的なコツをお伝えします。
適期の見極め方:葉の重なりが教えてくれるタイミング
現場で移植や定植のタイミングを判断する際、私がいつも注目しているのは「葉の重なり具合」です。どちらの工程でも、この視点が非常に役立ちます。
適期の見極めポイント:
- 苗を上から見て、葉が隣の苗と触れ始めているかチェック
- 朝一番の観察で「あれ、昨日より混み合ってきたな」と感じたら移植のサイン
- 株下の方の葉が影になっている
目安はこんな感じです。上記のような時期に移植・定植ができるように、作業スケジュールを組みましょう。
ただ、生育スピードは環境によっても変わるので、コマ目に変化を確認することが大切です。
一度タイミングを逃すと取り返しがつかないので、私は毎朝5分間の観察タイムを設けています。
効率的な作業のポイント
実際にどんな作業方法が効率的か。
ポイントは現場の設備や資材によって違ってくるわけですが、いくつか参考までに。
- 作業前には資材や道具を作業台の周りの「手の届く範囲」に配置しておく




- 苗を扱う際は、葉や根を千切らないように丁寧に。




- 実測してみると意外と「詰めすぎ」が多い。最適株間は実際に収穫サイズの株を並べてみるとわかりやすい


細かい作業のコツとかポイントっていくつもあります。
意外と知られていない、収益につながるものも。
現場でどんな工夫ができるのかってのは、以下のコンテンツにかなり書きました。
少し値は張りますが、コスパは高いと思います。合わせてどうぞ。
収益を左右する苗の選別戦略
けっこう重要なポイントが、移植や定植のついてで苗を選別すること。
これがかなり収益に直結します。
選別しないと収穫した時のバラツキが多くなって、規格外品が増えてしまいます。


選別による経済効果
- 栽培スペースの最適利用
- 肥料や電力などの資源の効率的投入
- 病害リスクの低減
- 収穫・出荷作業の効率化
選別のポイント
- 均一な発芽状態
- 根の発達状況
- 茎の直立具合
- 葉の色と形
まとめ


植物工場の収益性を高める上で、移植と定植は非常に重要な工程であることをお伝えしてきました。ここまでの内容を整理しましょう。
まず、移植と定植の違いをしっかり理解することが基本です。移植は苗の初期育成段階での工程で、定植は最終的な収穫スペースへの配置という違いがあります。この2つの工程が適切に行われることで、生育日数の短縮、スペース効率の最大化、そして人件費の最適化につながります。
具体的な成功ポイントとしては、「葉の重なり具合」による適期の見極めが重要。
そして収益に直結する要素として、苗の選別もおろそかにできません。均一な苗を選ぶことで、収穫時のバラツキを減らし、規格外品の発生を抑えられます。
植物工場のビジネスでは、細部へのこだわりが積み重なり、最終的な収益性につながります。移植と定植という基本工程を最適化することで、限られたリソースから最大の成果を引き出せるようになるでしょう。


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