植物工場の収量を左右する「空調」の力:CO2と風の基礎知識

こんにちは、今村です

植物工場で高品質な野菜を安定生産するには、温度や湿度など、空気の管理が欠かせません。

特に、植物の光合成に直接関わる「CO2」と、そのCO2を植物に行き渡らせ、最適な環境を作り出す「風」、そして全体を統括する「空調設備」は、収量と品質を左右する重要な要素です。

この記事では、植物工場初心者の方に向けて、CO2、風、そして空調設備それぞれの役割と、それらを連携させた最適な空気環境の構築方法について、分かりやすく解説します。

目次

CO2:植物の成長を左右する「目に見えない栄養素」

植物工場という閉鎖環境では、CO2濃度が低下しやすく、植物の成長を妨げる要因となります。適切なCO2濃度を維持することは、植物工場における最重要課題の一つと言えるでしょう。

なぜCO2は重要なのか? ~光合成におけるCO2の役割~

植物は、光合成によって自ら栄養分を作り出すことができます。

光合成は、太陽光エネルギーを利用して、水とCO2から糖を合成するプロセスです。つまり、CO2は植物にとって、人間にとっての食料と同じように、成長に欠かせない栄養素なのです。

CO2不足がもたらす悪影響

植物工場内のCO2濃度が低下すると、植物は十分な栄養を摂取できなくなり、以下のような悪影響が現れます。

  • 生育速度の低下: 光合成が抑制され、成長が遅くなる。
  • 収量の減少: 植物体が十分に育たないため、収穫量が減る。
  • 品質の低下: 葉が薄くなったり、色が悪くなったりするなど、品質が低下する。
  • 病気への抵抗力の低下: CO2不足は植物にストレスを与え、病気にかかりやすくなる。

最適なCO2濃度とは?

一般的な植物工場では、大気中のCO2濃度(約400ppm)よりも高い、1,000〜1,200ppm程度に設定されることが多いです。

この範囲内であれば、多くの野菜で光合成が促進され、生育が促進されることが分かっています。

ただし、品種によって最適なCO2濃度は異なるため、検証は欠かせません。

風を起こしてCO2を届ける! 環境均一化で生育をさらに促進

植物工場において、「風」は単に空気の入れ替えを行うだけでなく、CO2供給の効率を高め、植物の生育環境を均一化する重要な役割を担っています。

風がもたらす3つの効果

  1. CO2供給の促進
    風を送ることで、植物の葉の表面に停滞した空気(葉面境界層)を動かし、新鮮なCO2を供給することができます。葉面境界層は、CO2濃度が低く、光合成の効率を低下させる要因となります。風を送ることで、葉面境界層を薄くし、CO2の吸収を促進することができます。
  2. 温湿度ムラの解消
    植物工場では、照明や空調設備の影響で、場所によって温度や湿度にムラが生じることがあります。風を循環させることで、温湿度を均一化し、植物の生育に最適な環境を維持することができます。
  3. 蒸散の促進
    風は、植物の蒸散を促進する効果もあります。蒸散とは、植物が根から吸収した水を葉から水蒸気として放出する現象です。蒸散が促進されると、根からの水分の吸収が活発になり、養分を効率的に吸収することができます。

適切な風速と送風方法

風の強さによっても効果は異なり、強すぎると植物にストレスを与えてしまいます。一般的には、植物の周辺で0.2m/s〜0.5m/s程度の風速が適切とされています。

風を起こす方法としては、主に以下の3つがあります。

  • エアコン: 温度管理と同時に風を送ることができる。
  • 除湿機: 主に除湿を目的とするが、風を送る効果もある。
  • 送風機: 空気の循環に特化した設備。

これらの設備を組み合わせることで、栽培室全体に効率的に風を送ることができます。

栽培ベッドへの送風は必要?~リーフレタス栽培における重要性~

リーフレタスなど、葉が大きく成長し、株が密生しやすい品種では、栽培ベッド内に直接風を送ることも有効です。

栽培ベッド内にファンを設置することで、葉の重なりによる空気の停滞を防ぎ、CO2供給を促進することができます。

特に、株の中心部はCO2不足に陥りやすく、チップバーン(葉先が枯れる生理障害)が発生しやすいため、集中的に風を送ることが重要です。

ただし、ファン設置にはコストがかかるため、導入する際は費用対効果を慎重に検討する必要があります。

ベッドにファンを付けても、なぜチップバーンは無くならないのか

チップバーン対策のため、ベッドにファンを設置するケースがあります。

しかし実際には、それでもチップバーンが無くならないケースは多いです。

これには理由があり、本質的にチップバーン対策をするなら、もっと別の要因を考慮する必要があります。

そのような実践的なノウハウはいくつも存在し、知っておくことで現場の収益性は必ず高まります。

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空調設備:CO2と風を最大限に活かす環境制御の要

植物工場における空調設備は、単に室温を管理するだけではありません。

CO2濃度や風の流れを制御し、植物の生育に最適な環境を作り出す、まさに「環境制御の要」といえるでしょう。

植物工場で求められる空調設備の役割

  • 温度管理: 植物の生育に適した温度範囲を維持する
  • 湿度管理: 植物の生育に適した湿度範囲を維持する
  • 気流の生成: CO2の循環を促し、温湿度ムラを解消する

空調設備を選ぶ上での重要ポイント

  • 栽培規模と作物に合わせた能力: 栽培室の広さや栽培する作物の種類に適した能力を持つものを選ぶ。
  • 省エネ性能: ランニングコストを抑えるために、省エネ性能の高いものを選ぶ。
  • 制御機能: 温度、湿度、風量などを細かく制御できる機能があると便利。
  • 耐久性: 長期間安定して稼働できる耐久性も重要。

CO2、風、空調を最適化し、植物工場の収量アップを目指そう!

CO2、風、そして空調設備は、植物工場における収量や品質を左右する重要な要素です。

これらの要素を適切に制御することで、植物の生育を促進し、安定した生産体制を構築することができます。

本記事で紹介した内容を参考に、CO2、風、空調を効果的に活用し、植物工場の収量アップを目指しましょう!

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植物工場に必要な設備は?
  • 栽培設備: 栽培棚、栽培ベッドなど、植物を育てるための設備。
  • 照明設備: 太陽光に代わる人工光源。LED照明が主流になりつつあります。
  • 空調設備: 温度、湿度を適切な状態に保つためのエアコンや換気扇など。
  • 灌水設備: 植物へ水やりを行うための設備。養液栽培の場合は、養液を循環させるためのポンプなども必要です。
  • CO2供給設備: 光合成を促進するためのCO2を供給する設備。ボンベやCO2発生装置などがあります。
  • 環境制御システム: 上記の設備を統合的に制御し、生育に最適な環境を自動で作り出すシステム。

【オプション設備】

  • 養液管理システム: 養液の濃度やpHを自動調整するシステム。
  • 環境モニタリングシステム: 温度、湿度、CO2濃度などをリアルタイムで監視するシステム。
  • 作業支援システム: 作業を自動化・省力化するロボットやシステム。
植物工場は天候に影響されますか?

完全閉鎖型の植物工場の場合、天候の影響はほとんど受けません。年間を通して安定した環境で栽培できるため、季節に関係なく、高品質な野菜を安定供給できます。
一方、太陽光を利用する植物工場の場合、日照量や気温の変化の影響を受けます。しかし、一般的な露地栽培と比べて、雨や風などの影響は受けにくいため、安定した生産が見込めます。

植物工場は環境にどのようなメリットがありますか?

植物工場は、従来の農業と比べて、環境負荷を低減できるというメリットがあります。

  • 水資源の節約: 養液栽培では、水を循環利用するため、従来の農業に比べて水消費量を大幅に削減できます。
  • 農薬の使用量削減: 密閉された環境下では、病害虫の発生リスクが低いため、農薬の使用量を減らすことができます。
  • 化学肥料の使用量削減: 養液栽培では、必要な栄養分を必要な量だけ供給できるため、化学肥料の使用量を削減できます。
  • 輸送距離の短縮: 消費地に近い場所に工場を建設することで、輸送距離を短縮し、CO2排出量を削減できます。
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