フル生産をしている植物工場が限界を超えるとき

こんにちは、今村です

このコラムは、私の現場経験を中心に書いてます。
10年以上も現場にいると、ホント色々ありますよね。思い出したことを、気ままに書いてます。

まぁ、「へー、他の工場ってそうなんだぁ」みたいな、気楽な感じで読んでください。

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フル生産をしている植物工場が限界を超えるとき

「週末までに200ケース追加できますか?」

営業部のAさんから突然の電話。私は一瞬、青ざめました。すでに工場はフル稼働中。まるで満員電車に「もう一人乗れ!」と叫ぶような無茶ぶりです。

皆さんの職場でもこんな光景、見たことありませんか? 営業と生産部門の対立構図。この「聖なる戦い」は、どうやら製造業全体の”あるある”のようです。

月とスッポンの対立劇

営業は売上目標という山を登り続け、生産部門は効率という天秤を必死で支える。この二つの部門は、まるで異なる生き物のように、考え方の根本が違うんです。

「営業は売ってナンボ!」と肩で風を切って歩く営業マン。
「品質と効率が命!」と生産計画表を握りしめる生産管理。

そして、私たち植物工場も例外ではありませんでした。

「無理」と「何とか」の間で

「何とかして、もっと出荷できないか」

この言葉を聞くたび、私の胃は少しずつ痛くなります。LEDの光で照らされた葉物野菜たちも、もう少し早く育ってくれと頼んでも、植物の成長には物理的な限界があるのです。

でも、「無理です」と簡単に断ることもできません。それはお客さんとの信頼関係の問題。取引先からの突然の発注増に対して、営業は「当社の植物工場ではそれは不可能です」とは言いづらいのです。まるでレストランで「今日のランチは売り切れました」と言うようなもの。がっかりした顔を思い浮かべるだけで、心が痛みます。

「何とかします」の落とし穴

ここで安易に「何とかします」と答えると、別の問題が待っています。

なぜなら、「何とかします」の真の意味は?

「現場の従業員に残業させます」
「明日の生産計画を犠牲にします」
「品質チェックを少し省略します」

このような対応は、まるで借金のようなもの。一時的に凌げても、いずれ大きな利息とともに返済が来ます。

さらに恐ろしいのは、営業側が覚える「教訓」です。
「最初はダメと言われても、食い下がれば何とかなる」

私は内心、「植物にプレッシャーをかけても早く育ちませんよ」と叫びたくなりました。

対立から協調へ

この永遠の戦いを解決する鍵は何でしょうか?

それは、「工場の限界」を両部門が正確に理解すること。

私たちの植物工場では、毎週の生産会議で、生育状況のデータを共有するようにしました。LEDの光量と成長速度の関係、収穫可能な量の予測、人員配置の限界など、具体的な数字で示すことで、営業部も「なるほど、これが限界なのか」と理解してくれるようになりました。

データという共通言語があれば、感情的な対立ではなく、冷静な議論ができるのです。

工場の限界を超えるためには、無理をするのではなく、限界を正確に知ることから始まるのかもしれません。

皆さんの職場では、このような部門間の対立はありますか? もしあれば、どのように解決していますか? ぜひ教えてください。植物は押しても早く育ちませんが、知恵は共有することで成長するものですから。

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