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現場管理技術

植物工場のLEDとPPFD - 基礎を覚えて光環境を整えよう

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こんにちは、今村です。

光合成は作物が成長するための絶対的な基盤です。

この仕組みなくして、どんな野菜も果物も育ちません。 つまり、作物をうまく育てたいなら、光合成を理解することが避けては通れない道なのです。

なぜか?

それは光合成こそが「植物が育つ原理」そのものだからです。

光合成がうまくいけば作物は健全に育ち、効率が悪ければ成長は遅れ、品質も落ちます。 特に植物工場では、この光合成のメカニズムを理解し、最適な光環境を作り出すことが成功と失敗を分けます。

本記事では、基礎~実践まで、植物工場における光環境管理のノウハウを紹介します。

作物を育てる前に知っておきたい光合成のこと

植物工場で作物をうまく育てるために重要なのは、成長のエンジンである光合成を理解すること。

光環境を整えるためのLED選びやPPFD(光量子束密度)設定も、この光合成という基本プロセスを押さえておかなければ、効果的な栽培は難しいです。

光合成とは簡単に言えば、植物が光を使って「食べ物」(糖)を自分で作り出す仕組みのこと。 この仕組みを理解すれば、「どんな光をどれだけ与えれば作物がよく育つのか」という実践的な答えが見えてきます。

光合成は大きく分けて2つの段階で進行します。

1. 光化学反応(明反応)

これは文字通り「光を使う」段階。

作物の葉に含まれる葉緑素が光を吸収し、そのエネルギーを使って水を分解します。 このとき、酸素が副産物として放出され、ATP(アデノシン三リン酸)とNADPHという「エネルギー物質」が作られます。

2. カルビンサイクル(暗反応)

このステップでは、先ほど作られたエネルギー物質(ATPとNADPH)を使って、空気中の二酸化炭素から糖を合成します。「暗反応」という名前ですが、別に光が当たっていない場所で行われるわけではなく、光がなくても進行します。

植物工場でのCO2施用(二酸化炭素の追加)はこの段階を促進するためのもの。 いくら光を最適化しても、CO2がなければ光合成は成立しないのです。

この2段階のプロセスを理解すると、 **「LEDの光だけでなく、CO2濃度も同時に管理する必要がある」**ことが見えてきますよね。

作物の成長を最大化するには、光合成の全プロセスを支える環境づくりが大切なのです。

光によって野菜の形が変わる:活用するポイント

作物を育てる目的は単に「大きく育てる」だけでなく、見た目や食味、栄養価など「質の良い作物」を作ることです。

光は成長のためのエネルギー源としてだけでなく、作物の形や品質を決める役割も持っています。 この特性を理解すれば、便利に活用することも可能に。

これは一例ですが、光によって作物の形態が変わります。

では、これをどう活用するか。

実際には、

みたいなことも可能。 とはいえ、代わりに作物が大きく育たない、といったデメリットが発生することも。

完全にうまくはいかないものです。

光が多すぎると逆効果?光合成の限界を知って効率的に育てる

よーし、ガンガン光を当てて、デカく育てるぞ!

それ、気をつけてください。 「光が多ければ多いほど作物はよく育つ」

そう思いがちですが、実はそう単純ではありません。

照明にかけるコストと得られる成長のバランスを考えると、光には「適量」があります。この限界を理解することで、無駄なコストを削減しながら最大の収穫を得ることができます。

光が多すぎると起こること:光阻害

作物に強すぎる光を当て続けると、光合成システムが傷つく「光阻害」という現象が起こります。

これは人間の日焼けに少し似ていて、作物の成長に悪影響なのです。

こんな症状があれば、光阻害が起きているかも。

例えば、レタスなどの葉物野菜は200~300 μmol/m²/sというPPFD(光の強さ)で十分成長します。 それ以上の光を当てても、成長はほとんど変わらず、電力の無駄になる上に光阻害のリスクが高まります。

作物ごとの「光飽和点」(これ以上光を増やしても光合成が増えない点)を知っておくことで、無駄のない照明設計が可能になります。

もう一つの落とし穴:光呼吸

光呼吸は、強い光の下でCO2が不足すると起こる現象です。

本来CO2と結合すべき酵素が、代わりに酸素と反応してしまい、せっかく光合成で得たエネルギーが無駄になります。

ではどうするか。

これを防ぐには、強い光を当てる場合には必ずCO2濃度も高める(800~1,200ppm程度)ことがポイント。 CO2の追加施用なしに光だけを強くしても、投資に見合う収量増加は得られません。

効率良く育てるためのポイント

光阻害や光呼吸を回避し、最も効率よく作物を育てるには:

  1. 作物に合った光の強さを知る:
    • 葉物野菜は比較的弱い光(200~300 μmol/m²/s)でも十分育ちます。
    • トマトやイチゴなどの果菜類は、より強い光(400~600 μmol/m²/s)で生産性が上がります。
    • 作物に合った「ちょうどよい光の強さ」を選ぶことが、電気代節約の第一歩です。
  2. CO2濃度と光強度のバランスを取る:
    • 強い光を当てる場合は、必ずCO2濃度も高めましょう。
    • 光が強い→CO2消費が増える→CO2が不足する→光呼吸が起きる、という悪循環を防ぐことができます。
  3. 適切な温度管理:
    • 一般的に20~25℃が光合成に最適な温度帯です。
    • 温度が高すぎると光呼吸が促進され、光合成効率が低下します。
  4. 苗から徐々に光環境に慣らす:
    • 急に強い光に当てると光阻害を起こしやすいので、段階的に光強度を上げていくことが大切です。
    • 特に苗から定植するときは、光環境の急変に注意しましょう。

こうした知識をもとに光環境を設計することで、 「植物にとって最適」かつ「経営的にも効率的」な栽培ができますよ。

植物の特性を踏まえて、LEDを選ぼう

前のトピックで学んだように、植物は光合成を通じて成長し、特定の波長の光に反応します。

光が足りなければ成長が遅く、多すぎれば光阻害が起きる。

こうした植物の特性を理解した今、 次なるステップは**「では、どんなLEDを選べばよいのか」**ですよね。

ここでは、前項で学んだ植物の生理特性を実際のLED選択に活かすポイントを解説します。

まず知っておきたい、光の波長「光質」について

植物の光合成に有効な光の波長域は、400nm~700nm の範囲。 これを**光合成有効放射(PAR: Photosynthetically Active Radiation)**と呼びます。

PARの中でも、特に光合成効率が高いのは、以下の波長です。

LEDは、使用する材料の組成を変えることで、様々な波長の光を発光させることができます。

植物の光合成にとって、最も有効な波長域の光を用意してあげることも可能ってわけです。

LEDを使えば、これらの波長域の光を必要な割合で混合し、都合の良いように色のバランスを調整することもできます。 これは、太陽光や従来の人工光源では難しかったことです。

ただ、昔は赤と青を組み合わせたLED照明が多く利用されてきましたが、 最近は、「いやいや、他の波長も大事だよ」という意見が主流。

つまり、太陽光に近いタイプや白色のLEDを選ぶと良いと思います。

光の強さ=PPFDとは

先ほど説明したPAR(光合成有効放射)は植物が利用できる光の波長範囲を示しています。 一方で、その光がどれだけの強さで植物に届いているかを示す指標がPPFD(光量子束密度: Photosynthetic Photon Flux Density)です。

PPFDとは、単位面積あたり、単位時間あたりに植物に届く光合成に有効な光子(光の粒)の数を表します。

簡単に言えば「植物に届く光の強さ」を数値化したものです。

照明選びにおいては、波長(光質)と同様にこのPPFD(光量)も重要な判断基準なのです。

光飽和点を超えるPPFDは無駄になることや、作物ごとに最適なPPFD値が異なることは説明しましたね。

前項で学んだ光飽和点の知識を踏まえると:

ただし正確に言うと、 LEDの出力を選ぶというより、設置するLEDの本数でPPFDを調整することになりますね。

このへんは栽培する作物に合わせて決めていきましょー。

植物工場の光環境最適化:実践編

前項までで光合成のメカニズムや光質・光量の基礎知識を学びました。

では、こうした知識を実際の植物工場でどう活かすのか。ここでは理論を実践に移すための具体的な方法を解説します。

明期・暗期の設定と植物反応

植物は明期(光が当たっている時間)と暗期(光が当たっていない時間)でそれぞれ異なる生理活動を行います。

植物工場では光を当てるタイミングを自由に決められますよね。

つまり、この明暗リズムを理解しておけば、作物を適切に管理する鍵とできるのです。

明期に植物が行うこと

暗期に植物が行うこと

これらの明暗リズムに関連した生理活動は、植物の「体内時計」を形成しています。 この体内時計が崩れると、成長異常や病害虫への抵抗性低下を招くことがあるんで注意しましょう。

照明スケジュールをコロコロ変えるべきじゃないってことですね。

照明スケジュールの設計思想

明暗リズムの重要性を理解した上で、次は実際の照明スケジュール設計に移ります。

植物工場では、植物の生理と経済性の両方を考慮したスケジューリングが求められます。

基本的なスケジュール設計のコツ

経済性を考慮した照明スケジュール設計のコツ

このように、照明スケジュールは単なるON/OFFの時間設定ではなく、電気代削減と品質向上の両方を実現するための重要な管理ポイントです。

他にも作物の生育速度を考慮したり、生理障害を抑えることを考慮したり、 実は現場レベルだと色々ありますよね。

そこを深く理解することが、生産性を高めるポイント。 そういったノウハウは、当サイトの以下のコンテンツにけっこう書きました。

少し値は張りますが、費用対効果は高いと思います。合わせてどうぞ。

植物工場の収益性を高める172のヒント

光効率化のさまざまなテクニック

植物工場は何と言っても高額な電気代がネック。 知って得する光効率化テクニックも覚えておきましょう。

こういった小技は面倒だけど費用対効果が高いので、ぜひ導入しましょう。

反射板による光利用効率の向上

LEDからの光を無駄なく利用するための工夫です。

適切に反射板を導入すれば、同じLED消費電力で10~15%も収量増加できます。

電力コストに比べたら、費用対効果がとても高いです。

光分布を均一にする

栽培エリア全体に均一な光を届けることで、生育のばらつきを減らします。

ばらつきが多いとどうなるかっていうと、製品にならないものが増えて収益性が落ちます。

これらの技術を組み合わせることで、収穫量のばらつきも大幅に減少します。

光の前に他の環境を整えるべし

ここまで光の重要性を語ってきました。

でもすごく大事なポイント。 光だけを完璧に整えても、他の環境要因が不十分では電気代の無駄になるだけです。

植物工場の生産性を最大化するには、「光」だけでなく「温度」「湿度」「CO2濃度」「気流」などの環境要因を総合的に管理する必要があります。

これらの要素は互いに影響し合い、どれか一つでも不足していると他の要素をいくら最適化しても効果が限られます。

温度・湿度と光の調和

光強度と温度は密接に関連しています。光合成は化学反応であり、温度によって反応速度が変化します。

CO2がなければ光の無駄

CO2は光合成の原料であり、光エネルギーがあってもCO2が不足していれば光合成ができません。

気流も重要

まとめ

植物工場で成功するための光環境設計は、単に「たくさん光を当てる」という単純な問題ではありません。

本記事で解説したように、効率的かつ効果的な植物生産には、光合成のメカニズムを理解し、それに基づいた総合的な環境管理が必要です。

光合成と光環境の基礎知識

実践のポイント

総合的な環境管理の重要性

植物工場での成功の鍵は、これらの要素を総合的に理解し、バランスよく管理することです。 光環境だけを最適化しても、他の環境要因が整っていなければ無駄になってしまいます。

この記事で解説した知識を基に、あなたの植物工場でも最適な環境づくりを実践してみてください。

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