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植物工場の基礎・概要

「植物工場の赤字」について、多くの人が知らないカラクリ

こんにちは、今村です。

「植物工場の赤字」について検索し、このページを見ている方へ話します。

私、この文章を書く前に「植物工場 赤字」と検索してみたんです。

するとご覧の通り、山ほど表示されます。116万件……。

で、いくつか読んでみたのですが、 その内容に、どうも現場にいた私が違和感を覚えるものが……。

というのも、 例えば、「植物工場の6割は赤字」と書かれているのを読んで、 6割の植物工場がビジネスとして成り立ってない。 と思っていませんか?

これはちょっと違います。

この話、現場にいる方には理解いただけると思うんですよ。

植物工場の業界人ならわかっても、 「その書き方だと一般的には誤解されてしまうのでは?」みたいな内容のサイトがいくつもある。

というわけで、そのへんの誤解を解消しつつ、 植物工場と赤字の関係について書こうと思います。

まぁ実際のところ、多くの植物工場が厳しい現実と戦っています。 それは紛れもない事実ですがね。

それでは、一つずつ解説していきます。 データ引用元:大規模施設園芸・植物工場 実態調査・事例調査(一般社団法人日本施設園芸協会(Japan Greenhouse Horticulture Association))

それから、植物工場ってこんな場所ですよ。 みたいな話を以下の記事で書いてます。あわせてどうぞ。

植物工場のメリット・デメリット。現場でわかったこと全部言う


事業のスタート時点から、赤字は織り込み済み

まず、いくつかのサイトを見ても、どうもハッキリと書かれていない事が一つあります。

それは、 植物工場は、事業スタート時に「赤字 or 利益がほぼ出ない」ことを元々想定している。 ということ。

なぜなら、植物工場は設備投資が高額。 減価償却を行っている期間は、たいした利益はありません。

もちろん、予想していたより赤字が大きくなったり、利益が少なくなったり、そのような事態は十分あると思います。

とはいえ、「事業スタートから数年間は赤字だろうな~。」という事実を、 どこの植物工場でも、ある程度は覚悟しつつスタートするのです。

つまり、私が何を言いたいかというと、

夢と希望を持って植物工場事業をスタートさせたはいいものの、 実際にやってみたら予想していなかった赤字続きで借金で身動きが取れない状態になっている。

そんな状況だけではない。 ってことです。 (いや、そういう所もあるかもしれませんが…)

まぁ、事業計画が甘かったり、予想より乖離したりで、赤字が膨らんで苦しんでいるケースもあるとは思います。

ただ、多くのサイトで書かれている内容を、そのまま受け取るべきではないと思います。

だって、なぜ植物工場は赤字になるか?という説明で、

原因として、これらの点しか指摘していないサイトが多いので。

それはちょっと違う、というか誤解が生じてしまうだろうと。


で、植物工場ビジネスは稼げるの?稼げないの?

さて、前置きが長くなりました。 植物工場ビジネスをやっている我々は、赤字を覚悟してる。ということを踏まえた上で次の話へ。

根本の問題へと進んでいきます。

結局のところ、植物工場ビジネスって稼げるの?

これが本題というか、最重要ポイントですよね。

植物工場ビジネスは稼げるのか。

結論を言うと、 かなり苦しくて、どこの植物工場も生き残りに必死。 というのが現状です。

結局、稼げないんかい!ということで、 前半の長い前置きは何なんだ。という感じですが、ここからはデータも交えて解説していきます。

まず大前提として、植物工場ビジネスは、なるべく低コストな運営が必須です。 でも最近は、資材費や電気代が高騰したり、人件費も上昇していて、多くの植物工場が苦しんでいます。

実際、調査によると、植物工場の約7割が赤字、もしくは収支がプラスマイナスゼロ(損益均衡)という結果が出ています。なかには、補助金に頼らないとやっていけない植物工場も少なくありません。

太陽光型併用型人工光型
直近の決算(赤字・収支均衡)55%77%84%
年間売上(平均)4.9億円(日本円)2.7億円(日本円)1.6億円(日本円)

直近の決算と年間売上のデータを見ると、太陽光型は併用型と人工光型に比べ、黒字の割合が高く、年間売上も大きいです。

このことから、太陽光型の収益性が高い傾向にあると言えますね。

補助金なしでは厳しい現実

ちなみに、日本の行政からの補助金は、どのタイプも設備投資に使っているケースが多いようです。

特に、太陽光型では、エネルギー関連の補助金を活用しているところが多く、63%にも上ります。

一方で、補助金なしで頑張っている植物工場も、全体で27%もあるんです。 人工光型では、全体の48%が補助金なしで頑張っています。

このデータからも、植物工場の経営が厳しい状況であること、特に人工光型は収益確保が難しい現状がわかりますね。

そもそも植物工場が抱えている課題については、以下の記事にも書いてます。 こちらも参考にどうぞ。

関係者が絶対言わない…植物工場の課題は「人が定着しない」こと


なぜ赤字になるのか、データから読み解く

収穫前のレタス — 植物工場の生産現場

さらに掘り下げると、いくつか見えてくる事実があります。

植物工場の赤字につながる要因を解説します。

1. 面積当たりの生産性が高いほど黒字

面積当たりの収量

面積あたりの収量と収益性の間には、明確な相関関係があります。 収量が多いほど黒字で、収量が少ないほど赤字ってことです。

いやまぁ、当たり前なんですけどね。 でも実際に調査でもハッキリ出ているんです。

調査によると、太陽光型は27.3kg/m²以上、人工光型は59.5kg/m²以上が一つの目安で、それを超える施設は黒字になりやすい傾向が見られます。

つまり、鍵となるのは「レベルの高い栽培管理」ってことです。

同じ面積でも、より多くの収穫物を得なくてはいけません。

植物生理を深く理解し、設備を使いこなすために、収益性を高めるノウハウを学びましょう。

施設の面積(規模)

面積あたりの収量が多いと収益性が高いことはわかりましたね。 ただし、そもそも面積(規模)自体によっても、収益性は変わるのです。

太陽光型でも人工光型でも、栽培面積が大きいほど黒字・収支均衡の比率が大きくなる傾向にあります。

よく、「植物工場は大規模じゃないと利益が出ない」と言われていますが、 データで見ても明らかなようですね。

規模の経済が働き、施設の大規模化が収益性の向上につながると言えます。

2. 人件費と水道光熱費が高いほど赤字

次に、事業者ごとのコスト構造を見ていきます。 赤字の事業者には、共通点が見られます。

植物工場経営において、コスト管理は収益性を左右する重要な要素です。

どこの植物工場でも、人件費水道光熱費 の割合が高いことが明らかになっています。

逆に言うと、人件費水道光熱費 を下げることが、収益改善には不可欠ってことです。

この点でも現場スタッフの高いスキルとノウハウが必要になってきますね。

悲しいことに、ランニングコストは今後も上がり続けると思われます。 生き残るため、徹底的なコスト削減を続けていきましょう。

3. 取引先が少ないほど赤字

これも面白いデータです。

契約栽培直販・EC などを活用し、販路を多角化している事業者の方が、黒字になりやすいようです。

取引先が多いほうが赤字が減る傾向があります。

ただし、取引先が多いということは、単純に規模が大きい施設であるってことかもしれません。

4. 事業安定化までは時間がかかる

そもそも植物工場の事業安定化には、ある程度の時間も必要です。2019年以降に事業を開始した事業者は赤字比率が72%と高い傾向があります。

前半で長々と書いたように、減価償却期間中に十分な利益を出すのは難しいってことですね。 そもそも立ち上げ直後は、販路開拓や現場安定化にも苦戦しますから。

とはいえ、かなり早い段階で事業をスタートしていても、必ずしも収益化に成功しているわけではありません。

私が思うに、 減価償却が終わっている事業者でも、旧型の設備を使っていては生産性を高めきれない。 そんな微妙なケースもあると予想しています。


植物工場の赤字を克服する成功戦略

長々と説明してきましたが、まとめます。

植物工場が直面する主な課題は、以下の3点です。

  1. 初期投資と運営コストの高さ
  2. 技術力と人材の確保
  3. 販路の開拓と需要変動への対応

そもそも、施設が大きくないといけないとか、設備性能が低すぎてはダメ。 みたいな、元も子もない話は省きます。

これらの課題を解決するためには、初期投資を最小限に抑えつつ、現場の運営力を高めていくことが重要です。

赤字解消を突き詰めると、

最終的には、現場スタッフのレベルアップが必要。って話になります。

結論:赤字を解消するには、現場の地道な能力向上しかない

ここまでの結論として、初期設備で決まってしまうこと以外では、地道に現場力を高めていくしか解決策がないです。

と、言っても、どうやって学べば良いのか。

植物工場の具体的なノウハウは、意外と使えるものが表に出てきません。

どこの植物工場でも教育には苦労していますが、私のサイトでは、私が長年実践してきたノウハウを提供しています。

私自身も、教育や研修などで、植物工場にとって役に立つべく活動をしています。

もし植物工場の運営で何かお困りのことがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。一緒に課題解決に取り組んでいけることを願っています。

植物工場の収益性を高める172のヒント


まとめ:植物工場の将来に向けて

植物工場の将来性について、現状では楽観視できる状況ではありません。

事業継続のためには、徹底したコスト削減と効率化が前提条件となります。初期投資を最小限に抑えつつ、現場の地道な改善活動により生産性と品質を高めていくことが求められます。

将来の可能性を慎重に見極めつつ、地道な努力を積み重ねることが非常に重要です。高コストな新技術の導入には慎重であるべきでしょう。

特に初期投資は徹底して抑えるべきです。

私自身、長年植物工場の業界で働いてきましたが、業界のさらなる発展を心から願っています。

植物工場が持続可能な事業として確立され、食料供給や環境問題の解決に貢献できる存在になることを期待しています。そのためには、関係者一同が知恵を出し合い、課題解決に向けて努力を重ねていく必要があるでしょう。

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