はじめに|植物工場の収益性を高める172のヒント 現場で10年以上磨き上げたノウハウ

 改善活動に取り組む際、部分最適ではなく全体最適を目指すことが非常に重要です。なぜなら、ある部分だけを最適化しても、他の部分とのバランスを欠いてしまえば、全体としての効率は上がらないからです。全体最適を実現するためには、植物生理学、環境制御、データ分析など、様々な分野の知識やノウハウを身につける必要があります。

 私はこれまで、10年以上にわたり数多くの植物工場の立ち上げと改善に携わってきました。大規模な工場から小規模な工場まで、それぞれの現場で環境や設備、システムは異なります。そのため、ある現場で成功した方法が、別の現場でも同じように成功するとは限りません。それでも私が様々な現場で結果を出せたのは、どの現場でも通用する本質的な知識とノウハウを持っていたからです。

 本書はそうした知見を、私なりの体系で整理し、まとめたものです。ただし、本書の内容を「そっくりそのまま実践すればよい」というような、画一的なマニュアルではありません。しかし、植物工場に携わる方々が読めば、自身の経験と照らし合わせて、多くの場面で「なるほど、そういうことか」と感じる部分があるはずです。

 本書で説明する理論的背景を理解すれば、自分の工場の設備や運営体制に合わせた改善策を導き出すことが可能になります。本書のノウハウを活用し、どのように現場を改善するかは、現場ごとにできることが異なり、実践する人の創意工夫と技量が問われます。
 私自身、現場に合わせた工夫を考えることにやりがいを感じてきました。ですから、読者の皆さまにはぜひ本書の内容を存分に活用し、それぞれの現場で大きな成果を上げていただきたいと思います。

 そういった意味で、本書を最も活用できると想定しているのは、ある程度の現場経験を持つ中級者の方々です。植物工場業界では、長年の経験者が昇格により現場を離れたり、退職したりすることも少なくありません。そのため、現場の中核を担うのは、初心者から中級者の層だと言えるでしょう。
 この層の方々が本書のノウハウを習得し、実践することは、植物工場事業者にとって大きな戦力となります。ひいては、業界全体の発展にもつながる重要な取り組みだと考えています。

 本書の内容を実践する中で、さらにアドバイスが必要な場合は、通常は有料の「オンラインでの植物工場運営のお悩み相談」を、本書の購入者特典として無料で実施しています。専門家としての立場から、皆さまの疑問や課題に真摯に向き合います。どなたでも1回分は無料で利用できますので、ぜひ気軽にご利用ください。

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