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単肥肥料を使った養液の作り方と実践的なコツ


こんにちは、今村です
養液栽培の精度を高め、コストを抑えたい——
よくわかります。
ぜひ単肥肥料を活用しましょう。
たしかに配合肥料に比べて、単肥は複雑に感じるかもしれません。
でも単肥を使いこなせば、養液栽培の本来の強みである「精密な栄養管理」が可能に。
この記事では、単肥肥料の基本から実践的なテクニックまで、現場で役立つ知識を徹底解説します。
初心者の方が理解しやすいよう段階的に説明しています。
コスト削減と栽培品質の向上を同時に実現する単肥管理のノウハウをマスターしましょう。
養液栽培全般の話は、以下の記事もどうぞ。






まずは単肥肥料の基礎から


養液栽培で使用される肥料は、大きく分けて「単肥」と「配合肥料」の2種類があります。
単肥とは、硝酸カルシウムや硫酸マグネシウムなど、単一の肥料成分を主体とする肥料のこと。
例えば、硝酸カルシウムであればカルシウムと窒素を供給し、硫酸マグネシウムであればマグネシウムと硫黄を供給します。
それぞれが特定の栄養素に特化しているのが特徴です。
一方、配合肥料は、複数の肥料成分があらかじめ一定の割合で配合された肥料です。
一般的な液体肥料や園芸用の養液栽培キットに含まれるタイプの肥料がこれにあたります。
微量要素が全て含まれた混合剤も配合肥料の一種と言えます。
単肥を使用するメリット・デメリット
単肥は難しそう…。
そんなイメージを持っていて、導入に二の足を踏んでる方もいると思います。
そんな方のために、メリット・デメリットを整理しますね。
長く養液栽培を続けるなら覚えておいて損はないですよー。
メリット
- 成分調整の自由度が高い:
- 作物の状態や生育ステージに応じて、各栄養素の濃度を調整できます。
例えば、果実肥大期にはカリウムを増やしたり、葉の成長を促進したい時期には窒素を増やしたりとかが可能。
- 作物の状態や生育ステージに応じて、各栄養素の濃度を調整できます。
- 養液分析に基づいた調整が容易:
- 養液分析の結果、特定の成分だけが不足していることがわかった場合、その成分だけを補充できます。
- コスト効率が良い:
- 長期的に見ると、必要な成分だけを必要な量だけ使用できるため、無駄がなくコスト効率が良くなります。
デメリット
- 知識と経験が必要:
- 各肥料の特性や組み合わせについての専門知識が必要です。成分計算や調合にも慣れがいります。
- 準備と管理の手間がかかる:
- 複数種類の肥料を個別に管理し、正確に計量・調合する手間があります。
- 在庫管理の複雑さ:
- 多くの種類の肥料を保管する必要があり、在庫管理が複雑になります。
- 計量ミスのリスク:
- 複数の肥料を個別に計量するため、ミスする可能性も高くなる。でもやり方を工夫すればカバーもできます。



メリット・デメリットはわかったけど…
そんなに単肥が重要なの?
単肥を使う魅力は、コスト面での優位性にあります。
配合肥料は便利ですが、その分価格も高くなりがち。
一方、単肥は原料そのものを購入するため、特に大規模栽培では圧倒的なコスト削減につながります。
また、養液栽培の本質的な強みは、細かく肥料を調整できる点にあります。
土耕栽培では難しい精密な栄養管理がせっかくできるのに、
配合肥料のみに頼っていては、その強みを十分に活かしきれません。
実用的なアプローチ
単肥を使うと聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、実はシンプルな方法もあります。
例えば、主要な肥料成分は単肥で管理し、微量要素は配合肥料(微量要素混合剤)で補うという方法が楽で実用的です。
主要成分だけでも単肥にすることで、コスト面でのメリットを得ながら、管理の複雑さを適度に抑えられます。
養液栽培を始めたばかりなら、まず主要な単肥(硝酸カルシウム、硝酸カリウム、リン酸二水素カリウムなど)から試してみて、徐々に範囲を広げていくのも良いです。
最初は少し手間ですが、単肥のコスト効率と柔軟性を実感できれば、
やる価値は十分に理解できるはずです。
A液とB液に分ける理由


養液栽培において肥料を「A液」と「B液」に分けるのは、化学的な相互作用による沈殿を防ぐためです。
この分離は単なる慣習ではなく、肥料成分を安定化させるための重要なテクニックです。
沈殿のメカニズム
まずは原則から。
カルシウムイオン(Ca²⁺)とリン酸イオン(H₂PO₄⁻, HPO₄²⁻)、あるいは硫酸イオン(SO₄²⁻)が高濃度で混合されると、不溶性の塩(リン酸カルシウムや硫酸カルシウム)を形成します。
これらの沈殿物ができると、こんな問題があります。
- 作物が栄養素を利用できない
- 水耕システム内で詰まる
- 正確な養分濃度のコントロールが難しくなる
特に濃縮原液では、これらの成分が通常の数十倍の濃度で存在します。
そのため、混ざると瞬時に大量の沈殿が生じます。
例えば、硝酸カルシウムとリン酸二水素カリウムを濃縮状態で混合すると、
数秒以内に白い沈殿(リン酸カルシウム)が形成されます。
肥料を溶かす作業をしている際に入れ間違えて、
「うわ、やらかした!」という経験を持つのは私だけではないはず。
その他に原液の安定性に関わるもの
ちなみに、養液の安定性には以下の要素も影響します:
- pH値:酸性度が高いほど(pHが低いほど)多くの肥料成分が溶解状態を維持しやすい
- 温度:低温では肥料の溶解度が下がり、結晶が析出しやすくなる
- 濃度:原液の濃度が高すぎると、溶解度の限界を超えて結晶化する
つまり、
アルカリ性になる、低温、ECが高い、
養液がこんな状態になれば、沈殿する可能性が高くなるということです。
養液中に「白色や茶色の砂」が浮いてるのを見たことはありませんか?
沈殿が起きているかもしれませんよ。
単肥の種類とA液・B液への分類
A液に配合する単肥 | B液に配合する単肥 |
---|---|
リン酸二水素カリウム(KH₂PO₄) | 硝酸カルシウム(Ca(NO₃)₂) |
リン酸二水素アンモニウム(NH₄H₂PO₄) | |
硫酸マグネシウム(MgSO₄・7H₂O) | |
硫酸カリウム(K₂SO₄) | |
微量要素全般 |
どちらにも配合可能な肥料:
- 硝酸カリウム(KNO₃):養分バランスに応じてA液・B液に配分調整が可能
- 硝酸アンモニウム(NH₄NO₃):窒素濃度の微調整に使用
単肥を使って養液設計をしていこう


それでは、養液設計について丁寧に解説していきます。
まず、「どの肥料を」「どれだけ」使うべきかを正確に決めることは、
作物の健全な生育のために非常に重要です。
養液設計の基本的な考え方と計算方法からいきましょう。
多量要素の濃度計算(me/L)
まず前提として、単位の話から。
養液栽培では、栄養素の濃度を正確に管理するために「me/L(ミリ当量パーリットル)」という単位が一般的。
これは単なる重量濃度(ppm)ではなく、イオンの電気的な活性を表したもの。
植物の栄養吸収をより科学的に捉えることができます。
me/Lとは何か?
me/Lは「ミリグラム当量パーリットル」の略で、溶液1リットル中に含まれる物質の「化学的な反応性」を表します。
つまり、「どれだけの量があるか」というより、「どれだけの化学反応に参加できるか」というイメージ。
植物は栄養素をイオンの形で吸収するため、このme/Lを使うと理解しやすい。
例えば、カリウム(K⁺)とカルシウム(Ca²⁺)では、同じ重量でも化学的な活性(植物への利用可能性)が大きく異なります。これは両者の価数の違いによるもので、カリウムは1価のイオン(K⁺)、カルシウムは2価のイオン(Ca²⁺)として存在します。
具体例で説明すると:
- 100mgのカリウム(K)は約2.6ミリモル(100÷39、カリウムの原子量は約39)
- 100mgのカルシウム(Ca)は約2.5ミリモル(100÷40、カルシウムの原子量は約40)
モル数はほぼ同じですが、価数が異なるため当量数に大きな差が生じます:
- 100mg/LのK⁺は約2.6me/L(2.6ミリモル×1価)
- 100mg/LのCa²⁺は約5.0me/L(2.5ミリモル×2価)
このように、ほぼ同じ重量・同じモル数でも、カルシウムはカリウムの約2倍の化学的反応性(当量)を持っています。me/Lを使うことで、こうした価数の違いによる反応性の差を正確に表現でき、植物が実際に利用できるイオンの化学的能力がわかるってことです。
具体的に計算します
では、レタス栽培で広く使われる山崎処方を例に、硝酸カルシウム(Ca(NO₃)₂・4H₂O)の必要量を段階的に計算してみます。
ちなみに山崎処方の養液では、カルシウムの濃度は2me/Lとされています。
Ca(NO₃)₂・4H₂Oの分子量は以下の通り計算できます:
- カルシウム (Ca): 40.1
- 窒素 (N): 14.0 × 2 = 28.0
- 酸素 (O) [硝酸部分]: 16.0 × 6 = 96.0
- 水素 (H) [結晶水部分]: 1.0 × 8 = 8.0
- 酸素 (O) [結晶水部分]: 16.0 × 4 = 64.0
合計: 40.1 + 28.0 + 96.0 + 8.0 + 64.0 = 236.1
グラム当量とは、物質1モルが放出または受け取ることのできる電子の量に関連します。
Caのグラム当量 = Caの原子量 ÷ Caの価数 = 40.1 ÷ 2 = 20.05
1,000リットルの養液を作るために必要な硝酸カルシウムの量は:
必要量(g/1,000L)= 目標濃度(me/L)× カルシウムのグラム当量 × 硝酸カルシウムの分子量 ÷ カルシウムの原子量
= 2(me/L)× 20.05 × 236.1 ÷ 40.1
= 2 × 20.05 × 236.1 ÷ 40.1
= 236.1(g/1,000L)
このように、山崎処方の場合、1,000リットルの養液を作るなら硝酸カルシウムが236.1g必要になります。
同じように、他の肥料成分(硝酸カリウム、リン酸二水素カリウムなど)でも必要量を算出します。
ただし、硝酸カルシウムを加えることで既に硝酸(NO₃⁻)イオンが供給されているため、次に硝酸カリウムなどの硝酸塩を計算する際には、すでに加えた硝酸分を考慮する必要があります。
例えば、硝酸カルシウムから供給される硝酸分が4me/Lで、目標の硝酸濃度が10me/Lである場合、硝酸カリウムから供給すべき硝酸分は6me/L(10me/L – 4me/L)となります。
こんな感じで、各イオンのバランスを考慮しながら計算を進めていくことが、養液設計の流れです。
最適な肥料濃度の決定方法
養液設計を理解できたら気になるのが、
「じゃあ作物にとって最適な濃度はいくつか?」という点。
それがわからなければ、設計しようがありません。
この答えを見つけるためには、以下のようなアプローチをします。
養液成分を分析
養液分析は、現在の養液中の各栄養素濃度を正確に測定する方法です。
定期的な養液分析を行うことで、以下のような情報を得ることができます。
- 各肥料成分の過不足: 理想的な濃度と比較して、どの成分が過剰または不足しているか
- 作物の肥料吸収量: どの成分をどれだけ吸収しているか
- 処方の妥当性: 設計した養液処方が実際の栽培に適しているか
例えば、養液分析の結果、カリウム濃度が大きく低下していれば、植物がカリウムを積極的に吸収していることを意味します。
このような場合、次回の養液調製ではカリウム濃度を少し高めに設定するとよいでしょう。
基本原則:
- 吸収量が多い成分(分析値が低下している成分)→ 濃度を上げる
- 吸収量が少ない成分(分析値があまり変わらない成分)→ 濃度を下げる
うまく調整できるようになると、栽培が安定しますよ。
成分バランスが崩れないし、pHの変動も抑えられます。
そうなるには少し慣れも必要なんですが、もっと上級編のポイントは以下のコンテンツにかなり書きました。
ちょっと値は張りますが、コスパは高いと思います。合わせてどうぞ。
具体的な処方調整の手順
- 前回の養液分析結果と比較する:
- 各成分の濃度変化を時系列で確認し、どの成分が多く吸収されているか、あるいは蓄積しているかを判断。
- 肥料の量を調整する:
- 一般的には10%程度の増減を目安に、各肥料の投入量を調整します。急激な変化は植物にストレスを与えるため、段階的な調整が望ましいです。
- 全体バランスをチェックする:
- 調整後の処方で、目標とする成分バランス(例:N:P:K比率)になっているか確認します。特定の成分だけを調整すると、他の成分とのバランスが崩れることがあります。
ポイント:
厳密な数値にこだわりすぎず、大まかな調整で構いません。重要なのは、分析結果と植物の状態を見ながら、柔軟に処方を調整していくことです。完璧な処方を目指すよりも、植物の反応を観察しながら継続的に改善していく姿勢が重要です。
養液設計ツールを使いましょう
ここまでme/Lの計算方法を詳しく説明しましたが、実際の現場ではこうした複雑な計算を毎回手動で行うことはほとんどありません。
代わりに、専用の計算ツールやスプレッドシートを使用するのが普通です。
施肥設計ツールには様々な種類があり、簡単なものなら自分でも作れるでしょうし、ネットで配布されているものまで様々です。こうしたツールを活用することで、面倒な計算作業を省き、より正確で効率的な養液設計が可能になります。
特に、成分バランスの調整は、手動で行うと非常に複雑ですが、計算ツールを使えば一瞬です。
私が作ったツールは無料で配布しています
私が作ったツールは、当サイトで無料で配布しています。
シンプルなので、使いやすいと思います。
シンプルながら、単肥と配合肥料を合わせて計算、みたいなテクニカルなこともできます。
私自らが現場で使いながら、使いやすさを追求して磨き上げたものです。
以下からどうぞ。


単肥を使った養液の作り方(実践編)


単肥を使って養液を作る具体的な手順を、ステップごとに解説します。
ステップ1:必要な器具と準備
以下の基本的な器具が必要なんで、まずは揃えましょう。
- 電子秤:肥料の計量用
- 計量スプーン・スコップ:各種サイズ
- 撹拌棒:養液を混ぜるためのもの
- 皿や箱:肥料を入れるためのもの
- タンク:水を入れる容器
ステップ2:A液・B液の分け方を理解する
養液を作る際には、主に沈殿防止のためA液とB液に分けます。
前述してますが、基本原則は以下の通り。
- A液に入れるもの:リン酸系、硫酸系、カリウム系、マグネシウム系、微量要素
- B液に入れるもの:カルシウム系
コツ:
- 硝酸カリウムは必要に応じてA液とB液に分配できる
- 各肥料は、一つずつ概ね溶かしてから次の肥料を加える
- 計量ミスを防ぐため、作業前に必要量をリストアップしておく
ステップ3:濃縮原液の調製手順
ステップ3-1:肥料の計量
- 必要な肥料をすべて計量する
- 事前に計算した量を正確に計る
- 計量した肥料は小分けにして、ラベルをつけておく
- 吸湿性のある肥料(特に硝酸カルシウム)は素早く計量する
ステップ3-2:水の準備
- 容器に水を入れる
- 最終量の半分程度の水を容器に入れる
- 水温は15~25℃が理想的(冷たすぎるなら、温める工夫ができるとベター)
ステップ3-3:A液の調製
- リン酸系肥料を最初に溶かす
- リン酸二水素カリウム(KH₂PO₄)を水に少しずつ加える
- リン酸系を最初に入れるとpHが下がり、他の成分が溶けやすくなる
- 硫酸マグネシウムを加える
- 硫酸マグネシウム(MgSO₄・7H₂O)を加える
- カリウム系肥料を次に加える
- 硝酸カリウム(KNO₃)を加え、溶かす
- 必要に応じて硫酸カリウム(K₂SO₄)も加える
- 微量要素を最後に加える
- 容量を調整する
- 最終的な目標量になるよう水を加える
- 十分に撹拌して完全に溶解させる
ステップ3-4:B液の調製
- 硝酸カルシウムを溶かす
- 硝酸カルシウム(Ca(NO₃)₂・4H₂O)を加える
- 溶解時に発熱するため、他の肥料が溶けやすくなる。
- その他の肥料を加える
- 必要に応じて硝酸カリウムなどを加える
- 容量を調整する
- 最終的な目標量になるよう水を加える
- よく撹拌する
ステップ3-5:保管
- 適切に保管する
- 直射日光を避けて保管する
- 特に微量要素は光で分解されるため注意
- 容器にA液、B液と明記する
この濃縮原液は、実際に使用する際に100倍程度に希釈して養液として使用します。
A液とB液は必ず別々に希釈し、直接混ぜないようにしましょう。
(水で希釈する時に、濃い状態で混ざらないように注意!ってこと)
単肥管理の実践的なコツ


これまでの解説で、単肥を扱う流れは理解できましたか?
より使えるものにするために、実践的なコツも覚えておきましょー。
鉄の沈殿防止テクニック
pHが6.5を超えると、鉄イオンは水酸化鉄として沈殿し、植物に吸収されなくなります。
特に硬水や炭酸水素イオン濃度が高い水では問題が顕著。注意しましょう。
実践とコツ
- 養液全体のpHを5.5~6.2の範囲に維持する
- キレート剤の選択が重要(Fe-EDTA: pH 4.0~6.5、Fe-DTPA: pH 4.0~7.5、Fe-EDDHA: pH 4.0~9.0)。安定性が高いものもあるけど、その分値段は高いです。
- 鉄は必ずA液に入れ、すぐに撹拌して酸化を防ぐ
計量ミスを防ぐ工夫
単肥管理では計量ミスが栽培に大きな影響を与えることがあります。
しかも、一度肥料を溶かすと見た目だけではミスに気付けないこともあるんで、けっこう危険です。
少しの誤差が作物の生育不良につながるかも。
実践とコツ
- 少量(1~10g)は精密電子秤(0.1g単位)、中量以上は一般的な電子秤を使用
- A液・B液の容器を色分け(A液=青、B液=赤など)し、視覚的に区別する
- 計量済みチェックリストを作成し、作業中にチェックを入れていく
- 微量要素は事前に混合して小分け保存し、計量回数を減らす
- 声に出して確認する習慣をつける
計量ミス時の対応
- 軽微(15%以内):足りない成分を追加するか希釈する
- 重大(15%以上):養液を破棄し、再調製する
単肥の保管と期限管理
単肥は保管方法によって変化するものも。
適切な条件下で保管することで、効果を最大限に引き出せます。
実践とコツ
- 温度は10~25℃を維持し、極端な高温・低温を避ける
- 湿度は低めが理想的、特に吸湿性の高い肥料は注意が必要
- 直射日光を避け、特に微量要素は遮光容器で保管する
肥料別の保管ポイント
- 硝酸カルシウム:最も吸湿性が高いため密閉する
- 硫酸マグネシウム:固まりやすいが、砕いて使用すれば問題ない
- 微量要素:遮光容器で保管し、特に鉄剤は酸化に注意する
沈殿発生の原因と対策
沈殿は養液栽培における主要なトラブルです。種類によって原因と対策が異なります。
主な沈殿と特徴
- リン酸カルシウム:白色~灰白色の細かい沈殿、pH 6.0以上で発生しやすい
- 硫酸カルシウム:白色の結晶性沈殿、低温・高濃度条件で発生しやすい
- 鉄の沈殿:褐色~赤褐色、pH 6.5以上や日光に当たる環境で発生しやすい
- 炭酸カルシウム:白色粉状、硬水使用時やpH 7.0以上で発生しやすい
実践とコツ
- A液・B液の適切な分離を徹底し、希釈してから混合する
- pH 5.5~6.2の範囲で管理し、定期的に測定・調整する
記事の「まとめ:単肥を使いこなすための基本原則」のセクションの内容を作成します。記事の全体的な内容を踏まえて、以下のような形でまとめました。
まとめ:単肥を使いこなすための基本原則


単肥肥料による養液栽培は、精密な栄養管理とコスト効率の高さが大きな魅力です。
ここまでの内容を踏まえ、重要ポイントをまとめます。
初心者が押さえるべき重要ポイント
- A液とB液の分離を確実に:カルシウムとリン酸・硫酸の分離は沈殿防止の基本
- 計量の正確さを心がける:少量でも誤差が大きな影響を与えるため、適切な秤の使用と確認作業を
- pHの適切な管理:特に微量要素の溶解性に影響するため、5.5~6.2の範囲を維持
実践的なアドバイス
- まずは主要な単肥(硝酸カルシウム、硝酸カリウム、リン酸二水素カリウムなど)から始めよう
- 養液分析を定期的に行い、作物の吸収傾向を把握する
- 単肥は適切な環境で保管し、特に吸湿性の高い肥料は密閉容器で管理する
ステップアップのために
- 養液分析の結果を基に、少しずつ処方を改良していく姿勢を持つ
- 完璧を目指すより、作物の状態を観察しながら継続的に調整する習慣をつける
- 作物ごとの栄養要求の違いを知り、応用していく
単肥による養液管理は最初は手間に感じるかもしれませんが、慣れてくれば作物の状態に合わせた柔軟な栽培が可能になり、その実践的な価値を実感できるでしょう。
養液栽培の本質的な強みである「精密な栄養管理」を最大限に活かし、健全で収量の高い栽培を目指しましょう!


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