【植物工場の収量アップ】LED照明を徹底解説!光質・光量を最適化する理由とは?

こんにちは、今村です

近年、注目を集めている植物工場。その中でもLED照明は、従来の照明方法と比べて多くのメリットがあり、急速に普及しています。

この記事では、植物工場におけるLED照明の基礎から、光質・光量を最適化する方法が習得できるはずです。

特に、これから植物工場で働きたいと考えている方や、転職したばかりでLED照明の知識を深めたいという方はご覧ください。

目次

なぜ植物工場でLED照明が選ばれるのか?

植物工場でLED照明が選ばれる理由は、主に以下の4つです。

  1. 省エネルギー性: LED照明は、従来の蛍光灯やナトリウムランプと比較して消費電力が少なく、電気代を大幅に削減できます。
  2. 長寿命: LED照明は寿命が長いため、頻繁に交換する必要がなく、ランニングコストを抑えられます。
  3. 発熱量が少ない: LED照明は発熱量が少なく、植物に与える熱ストレスを軽減できます。そのため、植物工場のような閉鎖環境でも温度管理がしやすくなります。
  4. 波長制御が可能: LED照明は、特定の波長の光を効率的に照射できるため、植物の生育段階に合わせて最適な光環境を作り出すことができます。

これらのメリットから、植物工場においてLED照明は非常に有効なツールと言えるでしょう。

光合成を左右する「光質」と「光量」

植物工場でLED照明を使って収量を上げるためには、光合成を最大限に活性化させる必要があります。そのためには、光質(光の波長) と 光量(光の強さ) を理解し、適切にコントロールすることが重要です。

光合成に有効な光の波長「光質」

植物の光合成に有効な光の波長域は、400nm〜700nm の範囲で、光合成有効放射(PAR: Photosynthetically Active Radiation)と呼ばれています。

PARの中でも、特に光合成効率が高いのは、以下の波長です。

  • 赤色光(600〜700nm): 光合成の明反応を促進し、糖の生成に大きく貢献します。
  • 青色光(400〜500nm): 光合成の暗反応を促進するほか、葉緑体の発達や気孔の開閉、植物の形態形成(背丈や葉の厚さなど)にも影響を与えます。
wikipedia:Photosynthetisch aktive Strahlung

LEDは、使用する材料の組成を変えることで、様々な波長の光を発光させることができます。植物工場では、この特性を利用して、植物の光合成に最も有効な波長域の光を効率的に供給できます。

従来の植物工場では、赤色光と青色光を組み合わせたLED照明が多く利用されてきましたが、近年では、他の波長も植物の生育に影響を与えることが分かってきました。

  • 緑色光(500〜600nm): 赤色光や青色光と比較すると光合成効率は低いものの、葉の奥深くまで届きやすく、光合成を補助する役割があります。また、緑色光は人の目に認識しやすいため、作業性の向上にも繋がります。
  • 遠赤色光(700〜800nm): 植物の形態形成(茎の伸長など)や花芽の形成に関与しています。
  • 紫外線(UV-A:315〜400nm): 植物の色素合成を促進し、植物に鮮やかな色を与えたり、香りや風味を向上させたりする効果があります。また、UV-B(280〜315nm)は、病害抵抗性を高める効果があると言われています。

LEDを使えば、これらの波長域の光を必要な割合で混合し、植物の種類や生育段階に応じて最適な光質を提供できます。これは、太陽光や従来の人工光源では難しかったことです。

このように、植物の生育には、様々な波長の光が必要となります。そのため、植物工場でLED照明を選ぶ際には、これらの波長をバランス良く含んだものを選ぶことが重要です。

光の強さを表す指標「光量子束密度 (PPFD)」

LED照明は、PPFDを細かく調整できるため、植物の生育段階や種類に合わせた最適な光環境を作り出すことができます。

太陽光には、紫外線から可視光、赤外線まで、幅広い波長の光が含まれています。しかし、植物の光合成に最も有効なのは、400〜700nmの可視光領域です。

この範囲の波長の光が、植物にどれだけ当たっているかを示す指標として、光量子束密度(PPFD: Photosynthetic Photon Flux Density) が用いられます。PPFDは、単位面積(1平方メートル)に1秒間あたりに照射される光合成有効放射(PAR)の光子の数で表され、単位は μmol/m²/s です。

wikipedia:Photosynthetically active radiation

植物の種類や生育段階によって適切なPPFDは異なりますが、一般的には以下の範囲が目安となります。

作物の種類PPFD (μmol/m²/s)
葉菜類200〜300
果菜類、花卉類300〜600

PPFDが高すぎると、光合成が飽和状態になり、生育が抑制される光阻害を起こす可能性があります。一方、PPFDが低すぎると、光合成量が不足し、生育が遅延する原因となります。

具体的な光のコントロール方法によっては、植物工場の収益性に大きく影響します。光量を上げれば生育は早くなりますが、電力コストや設備コストも増大します。

ただし実際のところ、これらを知っているだけで現場力は上がりません。

特に、植物工場の収益性を高めるために大切なことは、「これらの知識を持ったうえで、具体的にどう改善するか」です。そのノウハウは、以下のコンテンツで詳細に解説しています。

植物工場でLEDを使う上での注意点

植物工場でLED照明を使う際には、以下の点に注意する必要があります。

  • 植物の種類や生育段階に合わせた光質・光量の設定: 植物の種類や生育段階によって、必要な光質と光量は異なります。適切な設定を行わないと、生育不良や収量低下に繋がります。
  • LEDからの排熱対策: LED照明は発熱量が少ないとはいえ、高出力のものを長時間使用する場合には、栽培室内の温度上昇に注意が必要です。適切な空調管理や、LED照明の設置場所を工夫するなどして、排熱対策を施しましょう。
  • 栽培環境の均一性の確保: 栽培室内において、温度、湿度、CO2濃度、光の強さなどが均一になるように管理する必要があります。特に、LED照明の設置場所によって光の強さが偏らないように、注意が必要です。
  • 光害の防止: LED照明を植物に近づけすぎると、局所的に光が強くなりすぎ、植物にストレスを与える可能性があります。適切な距離を保ち、光の分布を均一にすることが大切です。

特に、人工光型植物工場では、LEDからの排熱が栽培室内の温度上昇を引き起こすことがあります。適切な空調管理により、排熱を効率的に除去し、栽培室内の環境を最適に保つことが重要です。

また、LEDを使う際は、光害にも注意が必要です。植物体に近接しすぎたLEDは、局所的な光ストレスを与える可能性があります。適切な距離を保ち、光の分布を均一にすることが大切です。

より効果的な光照射のためのテクニック

植物工場でLED照明の効果を最大限に引き出すためには、適切な光質や光量に加えて、以下のテクニックを組み合わせることが重要です。

反射板の活用

反射板は、LED照明から出る光を反射させて、無駄なく植物に当てるための有効なアイテムです。反射板を設置することで、栽培棚の下の方まで光を届けることができ、光環境の均一性を高めることができます。

反射板の素材には、光を効率的に反射する白色のものが適しています。また、植物工場では水がかかることも多いため、防水性の高い素材を選ぶと良いでしょう。

照明の設置方法

LED照明を効果的に照射するためには、設置場所や角度を工夫することが大切です。植物の種類や栽培棚の高さに合わせて、最適な設置方法を検討しましょう。

例えば、背丈の低い植物を栽培する場合には、LED照明を近くに設置することで、効率的に光を当てることができます。一方、背丈の高い植物を栽培する場合には、LED照明を高い位置に設置するか、複数の照明を組み合わせることで、植物全体に光が当たるように工夫する必要があります。

照明スケジュール

植物は、光合成を行う昼間(明期)と、呼吸を中心とした代謝を行う夜間(暗期)のリズムを持っています。このリズムを崩すと、生育不良や収量低下に繋がる可能性があるため注意が必要です。

植物工場では、LED照明を使って明期と暗期を人工的に作り出すことができます。適切な照明スケジュールを設定することで、植物の生育を促進し、収量アップを目指しましょう。

照明スケジュールを設定する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 日長時間: 植物の種類によって、適切な日長時間は異なります。短日植物、長日植物、中性植物などの種類に合わせた日長時間にする必要があります。
  • 明期と暗期の切り替え: 明期と暗期の切り替えを急激に行うと、植物にストレスを与える可能性があります。タイマーなどを活用して、徐々に切り替わるように設定すると良いでしょう。

まとめ|LEDで植物工場の収益を最大化しよう!

この記事では、植物工場におけるLED照明の基礎から、光質・光量の最適化、生育障害対策まで解説してきました。

LED照明は、従来の照明方法と比べて、省エネ、長寿命、発熱量が少ない、波長制御が可能といった多くのメリットがあり、植物工場の収量アップに大きく貢献するツールです。

しかし、LED照明を導入するだけで、自動的に収量がアップするわけではありません。植物の生育メカニズム、光質・光量と生育の関係、生育障害などの知識を深め、適切な光環境コントロールを行うことが重要です。

この記事を参考にして、LED照明を最大限に活用し、植物工場の収益向上を目指しましょう!

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普通のLEDライトで植物は育ちますか?

一般的な白色LEDライトでも植物を育てることはできますが、植物の健全な生長のためには、植物の光合成に最適化された光質と光量が必要です。植物育成用のLEDライトは、植物の光合成に最も有効な赤色光と青色光の割合を調整し、必要な光量を提供するように設計されています。

植物育成ライトとLEDライトの違いは何ですか?

植物育成ライトは、植物の光合成に最適な光質と光量を提供するように設計されたライトです。一方、一般的なLEDライトは、主に人間の視覚に適した光を提供するように設計されています。植物育成ライトは、赤色光と青色光の比率を調整し、植物の生育段階に応じて光量を制御できるのが特徴です。

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