こんにちは、今村です
植物工場で高品質な作物を安定生産するには、適切な環境制御が欠かせません。中でも「温度管理」は、作物の生育スピード、収量、そして品質を左右する重要な要素です。
この記事では、植物工場における温度管理の基礎から実践的なテクニックまで、初心者の方にも分かりやすく解説していきます。特に重要なポイントは以下の通りです。
- 温度管理の基礎知識
- 実践的な温度管理テクニック
- 現場で役立つ温度管理のポイント
- よくある課題と解決策
- 温度管理の自動化
この記事を読めば、明日から植物工場で実践できる温度管理のノウハウが身につきます。ぜひ最後まで読んで、収量アップを目指しましょう!
温度管理の基礎知識:植物の生育と温度の関係
植物は、光合成によって無機物から有機物を作り出し、生育に必要なエネルギーを得ています。そして、この光合成をはじめ、呼吸や蒸散など、植物の生理活動はすべて温度の影響を受けます。
最適な温度範囲は植物によって違う!
植物の種類や品種、生育ステージ、さらには栽培環境によって、最適な温度は異なります。一般的には、昼間は20℃~30℃、夜間は15℃~25℃程度が目安とされていますが、これはあくまで目安です。
例えば、レタスなどの葉物野菜は比較的低い温度を好み、高温下では生育が抑制されたり、品質が低下したりする可能性があります。一方、トマトなどの果菜類は比較的高温を好み、低温下では生育が遅延したり、果実の肥大が抑制されたりする可能性があります。
温度管理を怠るとどうなる?
適切な温度管理を行わない場合、以下のようなリスクがあります。
- 生育不良: 適温範囲を外れると、光合成や呼吸などの生理活動が阻害され、生育が遅延したり、停止したりする。
- 品質低下: 高温障害や低温障害により、葉の色や形が悪くなったり、果実の糖度や食味が低下したりする。
- 病気の発生: 高温多湿の環境は、病害虫の発生を促しやすい。
- 収量の低下: 生育不良や品質低下により、収量が減少する。
ポイント: それぞれの植物に最適な温度範囲を把握し、適切な温度管理を行うことが重要です。
収量アップに繋げる温度管理のテクニック
ここからは、植物工場で収量アップに繋がる、実践的な温度管理テクニックを紹介します。
DIF(昼夜温度差)の活用
DIFとは、昼間と夜間の温度差のことです。多くの植物は、昼夜の温度差がある方が、生育が促進されることが知られています。
DIFを活用するメリット
- 茎の伸長抑制: 夜間の温度を昼間よりも低く設定することで、茎の節間が詰まった、コンパクトで丈夫な株を作ることができます。
- 開花促進: 植物によっては、DIFを適切に設定することで、開花を促進できる場合があります。
- 品質向上: DIFを活用することで、ビタミンCや糖度などの含有量が増加し、品質が向上する可能性があります。
ポイント: 植物工場では、照明によって昼間の温度が上昇しやすいため、夜間の温度を適切に管理することで、効果的にDIFを活用することができます。
養液温度の管理
養液栽培では、養液の温度も植物の生育に影響を与えます。養液温度は、根の生育や養分の吸収に大きく関係しており、適切な温度範囲を維持することが重要です。
養液温度が不適切だとどうなる?
- 根の生育不良: 養液温度が低すぎると、根の生育が抑制される。
- 養分の吸収不良: 養液温度が適温範囲外だと、養分の吸収効率が低下する。
- 酸欠: 養液温度が高いと、酸素要求量が増える。
ポイント: 一般的には、養液温度は気温とほぼ同じであれば問題ありません。しかし、冬場の水道水での養液交換時や、夏場の気温上昇による極端な温度変化には注意が必要です。
養液温度を管理する方法
- 養液タンクを直射日光の当たらない、温度変化の少ない場所に設置する。
- 養液タンクや配管に断熱材を巻き付ける。
- 必要に応じて、ヒーターや冷却装置を使用して、養液温度を調整する。
実際、生産性は上げるためには温度をどうすれば?
温度管理テクニックを紹介しました。
でも、いちばん重要なことは、温度をどうすれば生産性は上がるのか? ですよね。
例えば、DIFは良い苗を作るために強力なテクニックですが、実際に現場に取り入れるには工夫が必要です。生育ステージごとの温度設定は、どのようにすると費用対効果が高いでしょうか。
やみくもに温度や照明の設定をするだけでは、良い結果は残せません。成果が出ている植物工場しか知らない温度のコントロール方法はあります。
それらのノウハウは、当サイトの以下のコンテンツで詳細に紹介しています。
現場で役立つ温度管理のポイント
ここでは、実際に植物工場で温度管理を行う際に役立つポイントを紹介します。現場の温度を決めるうえでのヒントにしてください。
推奨温度はあくまでも目安
栽培書やウェブサイトに記載されている温度は、あくまでも目安です。
- 品種による違い: 同じ種類の植物でも、品種によって最適な温度は異なります。
- 環境による違い: 栽培環境(日射量、湿度、風通しなど)によっても、最適な温度は異なります。
ポイント: 実際に栽培する品種や環境に合わせて、微調整を繰り返しながら、最適な温度を見つけることが重要です。
レタスの抽苔防止
レタスなどの葉物野菜は、高温に弱く、長期間高温にさらされると、花茎が伸びてしまう「抽苔」を起こすことがあります。抽苔すると、葉が硬くなって苦味が増し、商品価値が著しく低下してしまいます。
ポイント: レタスの抽苔を防ぐためには、以下のポイントに注意しましょう。
- 適切な温度管理: 温度管理を徹底し、高温になりすぎないように注意する。
- 日長の調整: レタスは、長日植物なので、日長が長くなると抽苔しやすくなります。
- 品種の選択: 抽苔しにくい品種を選ぶことも有効な手段です。
データだけでなく作物の状態を観察
温度計の数値だけにとらわれず、実際に植物の状態をよく観察することが重要です。
観察ポイント
- 葉の色・形: 葉の色が薄くなったり、形が歪んだりしていないか。
- 茎の状態: 茎が細く徒長したり、逆に太く短くなったりしていないか。
- 根の状態: 根の色が変色したり、根腐れを起こしていないか。
ポイント: 植物の状態をよく観察することで、生育状況を把握し、問題があれば早期に発見することができます。
結露の発生防止
植物工場では、湿度が高くなりがちです。特に、夜間から朝方にかけては、気温が低下するため、葉の表面に結露が発生しやすくなります。葉に結露が付着した状態が続くと、病気の原因になったり、光合成を阻害したりする可能性があります。
結露を防止するには?
- 湿度管理: 湿度を70%以下に保つようにしましょう。除湿機を使用するのも効果的です。
- 温度管理: 急激な温度変化は避けましょう。
- 空気循環: 栽培棚の間隔を十分に確保し、サーキュレーターなどを設置して、空気の循環を良くしましょう。
ポイント: 結露は、植物の生育に悪影響を与える可能性があります。日頃から結露が発生しにくい環境作りを心がけましょう。
よくある課題と解決策:温度管理のトラブルシューティング
ここでは、植物工場でよくある温度管理の課題と、その解決策を紹介します。
温度ムラ
植物工場内では、場所によって温度が異なり、温度ムラが発生することがあります。
原因
- 空調設備の能力不足: 栽培スペースに対して、空調設備の能力が不足していると、十分に温度管理ができない場合があります。
- 空調設備の配置不良: 空調設備の配置が悪いと、冷気や暖気が偏り、温度ムラが発生しやすくなります。
- 日射の影響: 窓から差し込む日光や、照明の熱によって、部分的に温度が上昇することがあります。
解決策
- 空調設備の見直し: 栽培スペースの広さや形状、栽培する植物の種類などを考慮し、適切な能力の空調設備を選びましょう。
- 空調設備の配置変更: 温度センサーなどを活用し、温度ムラが発生している場所を特定し、空調設備の配置を調整しましょう。
- 遮光・断熱: 窓に遮光カーテンを設置したり、壁や天井に断熱材を施工したりすることで、外気温の影響を抑え、温度ムラを軽減することができます。
- 循環扇の活用: サーキュレーターやファンなどを使用し、空気をかき混ぜることで、温度ムラを解消することができます。
高温・低温障害
高温障害は、植物が高温にさらされることで発生する障害です。
症状
- 生育不良: 生育が遅延したり、停止したりする。
- 葉焼け: 葉の先端や縁が枯れる。
- 葉の萎凋: 葉が萎れてしまう。
解決策
- 温度管理: 適切な温度管理を行い、適温を保ちましょう。
- 光量の調整: 照明と葉の距離が近すぎると、葉が高温になることがあります。
ポイント: 温度管理は、植物工場における最重要項目の一つです。こまめなチェックと早めの対策を心がけましょう。
まとめ
この記事では、植物工場における温度管理の重要性と、具体的な方法について詳しく解説しました。
温度管理は、植物工場の成功を左右する重要な要素の一つです。ぜひこの記事を参考にして、適切な温度管理を実践し、高品質な作物を安定生産してください。
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- リーフレタスの生育に適した温度と湿度は?
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リーフレタスの生育に最適な温度は20〜25℃、湿度は60〜80%とされています。適切な温度と湿度管理により、高品質で安定した収量が得られます。
- レタスは何度まで耐えられますか?
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レタスは比較的高温に弱い作物です。30℃を超えると呼吸が盛んになりすぎて生育が阻害されます。一方、10℃以下の低温になると光合成が抑制されます。レタスの好適生育温度範囲は比較的狭いといえます。
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