【植物工場の収量UP!】知らないと損する「徒長」のメカニズムと対策を徹底解説

こんにちは、今村です

「せっかく植物工場を始めたのに、思ったように収量が上がらない…」

そんな悩みをお持ちのあなたへ。 実は、その原因は「徒長」にあるかもしれません。

徒長とは、植物が光を求めてひょろひょろと間延びしてしまう成長障害のこと。
植物工場で頻繁に起こる問題であり、収量や品質を大きく左右する重要な要素です。

この記事では、植物工場における徒長の原因から具体的な対策まで、分かりやすく解説していきます。
この記事を読めば、徒長のメカニズムを深く理解し、収量アップ、高品質な野菜生産を実現するための具体的な対策を立てることができるでしょう。

目次

植物工場で徒長が起こる原因

植物工場で徒長が起こる主な原因は以下の点が挙げられます。

光量不足

植物は光合成によってエネルギーを得ていますが、光量が不足すると、より多くの光を求めて茎を伸ばそうとします。
特に、植物工場で多く採用されているLED照明は、太陽光に比べて光量が弱いため注意が必要です。
また、植物工場内での照明の配置や反射板の設置状況によって、植物に当たる光の量が偏り、徒長を招くケースもあります。

温度管理

植物の生育には最適な温度があり、種類や生育ステージによって異なります。
一般的に、夜温が高すぎると、植物の呼吸活動が活発化し、エネルギー消費が増加するため、徒長しやすくなると言われています。
特に、植物工場では、密閉された空間であるため、温度管理が適切に行われていないと、部分的に温度ムラが発生し、徒長を助長する可能性があります。

湿度が高い

湿度が高い環境では、植物の蒸散作用(葉の裏側にある気孔から水分を放出する働き)が阻害され、吸い上げた水分が過剰になり、徒長しやすくなります。
植物工場は閉鎖空間であるため、湿度が上がりやすく、適切な換気や除湿システムの導入が重要となります。

育成密度

植物同士が近すぎると、光が当たらず、植物はより多くの光を求めて茎を伸ばそうとします。
適切な育成密度を保つためには、栽培棚の高さや配置を工夫する、間引きを適切に行うなどの対策が必要です。

品種

品種によって、徒長しやすいものとそうでないものがあります。
例えば、レタスなどの葉物野菜は、徒長しやすい傾向があります。
植物工場で栽培する際には、徒長しにくい品種を選ぶことも重要です。

徒長が引き起こす問題

徒長は、植物の生育に悪影響を及ぼし、収量や品質を低下させるだけでなく、様々な問題を引き起こします。

収量低下

茎ばかりが伸びてしまい、葉や果実など、収穫対象となる部分が十分に成長しなくなります。
特に、葉物野菜では、葉の枚数や大きさが収量に直結するため、徒長による収量低下の影響は大きいです。

品質低下

徒長した植物は、組織が軟弱になり、味が落ちたり、日持ちが悪くなったりする傾向があります。
また、茎が細長く、葉が小さくなるため、市場価値が低下する可能性があります。

病気・害虫への抵抗力低下

徒長した植物は、組織が軟弱なため、病気や害虫の被害を受けやすくなります。
特に、風通しが悪くなりがちな植物工場では、病気の蔓延を防ぐためにも、徒長対策は重要です。

作業効率の低下

徒長した植物は、倒れやすいため、収穫作業や管理作業に時間がかかります。
また、品質が低下することで、選別作業などの手間も増える可能性があります。

植物工場における徒長対策

徒長を防ぎ、収量アップ、高品質な野菜生産を実現するために、具体的な対策を見ていきましょう。

1. 光環境の最適化

  • 光量: 栽培する植物の種類や生育ステージに合わせて、適切な光量を設定する必要があります。
    • 一般的に、葉物野菜なら200~300μmol/m2s程度の光量が必要です。
    • 光合成有効放射 (PAR) を測定できる計測器を用いて、植物に実際にどれだけの光が当たっているかを把握し、必要であれば照明を追加するなどの対策を検討しましょう。
  • 照射時間: 植物には、光合成を行う昼間と、呼吸や養分の転流を行う夜間が必要です。
    • 栽培する植物の種類や生育ステージに合わせて、適切な照射時間を設定しましょう。
    • 一般的には、1日あたり12〜16時間程度の照射時間が目安となります。
  • 光質: 植物は、光合成に有効な波長があります。
    • LED照明を使用する場合は、赤色光(660nm付近)や青色光(450nm付近)など、植物の光合成を促進する波長を多く含むものを選びましょう。
  • 照明の配置: 植物の上部に均一に光が当たるように、照明を配置する必要があります。
    • 照明の間隔や高さ、照射角度を調整したり、反射板を設置したりすることで、光を効率的に利用することができます。

2. 温度管理の徹底

  • 生育適温の維持: 栽培する植物の種類や生育ステージに合わせて、昼温と夜温を適切に管理する必要があります。
    • 温度計を設置し、こまめに温度を確認しましょう。
    • 植物工場内の温度ムラをなくすために、サーキュレーターなどを設置して、空気を循環させることも効果的です。
  • DIFの活用: DIFとは、昼温と夜温の温度差のことです。
    • DIFを適切に設定することで、植物の徒長を抑制することができます。
    • 一般的に、昼温よりも夜温を高く設定すると、徒長抑制効果があるとされています。

3. 湿度管理の徹底

  • 適切な湿度を維持: 植物工場内は、湿度が上がりやすいため、適切な換気や除湿システムの導入が重要となります。
    • 湿度計を設置し、こまめに湿度を確認しましょう。
    • 適切な湿度は、植物の種類や生育ステージによって異なりますが、一般的には60%〜70%程度が目安となります。
  • 風通しを良くする: 植物工場内に風を起こすことで、湿度を下げ、徒長を抑制することができます。
    • サーキュレーターを設置したり、換気扇を稼働させたりすることで、風通しを良くしましょう。

4. 適切な育成密度の管理

  • 品種に合わせた密度: 栽培する植物の種類や品種に合わせて、適切な育成密度を保つようにしましょう。
    • 密植しすぎると、光が当たらなくなり、徒長を招く原因となります。
    • 適度な株間を保つことで、植物同士の競合を防ぎ、健全な生育を促しましょう。
  • 栽培棚の高さ調整: 栽培棚の高さを調整することで、植物に均一に光を当てることができます。
    • 栽培する植物の高さに合わせて、棚の高さを調整しましょう。

黒字の植物工場で徒長は起きない

徒長による最大の問題は、収量が下がること。収穫時期になっても重さが乗らず、茎が細いので千切れてしまう葉が多発するのです。

植物工場の収益性を高めて黒字にするには、徒長を起こさないことが前提条件です。

では具体的にどうするか?

徒長は、この記事で紹介したような方法で予防できます。しかし、実際に現場へ落とし込むのは難しいもの。

例えば、密植は徒長の原因ですが、植物工場では密植しなければ生産量は上がりません。このような矛盾に対して、どのような考え方で対処すべきなのか。

黒字運営できている植物工場では、栽培管理を本質的に理解し、問題に対処できています。

当サイトでも、そのような実践的なノウハウを提供しています。

興味があれば以下をご確認ください。

まとめ|徒長対策で収益アップを目指そう

この記事では、植物工場における徒長について、その原因から対策まで詳しく解説しました。

徒長は、収量や品質を大きく左右する問題であり、植物工場経営においては、適切な対策を講じることが不可欠です。

今回紹介した対策を参考に、植物工場の環境管理を徹底し、収量アップ、高品質な野菜生産を実現しましょう。

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なぜ徒長してはいけないのですか?

徒長すると、以下のようなデメリットがあるため、植物工場においては、徒長を抑制することが重要です。

  • 収量・品質の低下: 茎ばかりが伸びてしまい、葉や果実などが十分に成長せず、収量が減ってしまいます。また、徒長した植物は、組織が軟弱になり、味や日持ちが悪くなるなど、品質も低下する傾向があります。
  • 病気・害虫への抵抗力低下: 徒長した植物は、組織が軟弱なため、病気や害虫の被害を受けやすくなってしまいます。
  • 作業効率の低下: 徒長した植物は、倒れやすく、管理作業に時間がかかります。
水耕栽培で徒長したらどうなるのですか?

水耕栽培では、土壌栽培よりも徒長しやすい傾向があります。
これは、水耕栽培では、植物の根が常に水に浸かっているため、土壌栽培に比べて、植物が水分を吸収しやすい状態にあるためです。

水耕栽培で徒長が起こると、根腐れを起こしやすくなる、茎が折れやすくなる、収穫量が減るなどの問題が発生する可能性があります。

徒長を改善するにはどうしたらいいですか?

徒長してしまった場合、徒長の原因となっている光量不足や温度管理、湿度管理などを改善します。具体的には、光量の強い照明に交換する、風通しを良くするなどの対策が考えられます。

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