植物工場での小麦・大豆などの穀物栽培 〜可能だけど、経済的には厳しい現状〜

こんにちは、今村です

今回は、植物工場での穀物栽培です。小麦と大豆などの栽培可能性について解説したいと思います。

植物工場といえば、レタスやトマトなどの野菜栽培が主流ですが、果たして小麦や大豆などの穀物栽培は可能なのでしょうか?また、わざわざ植物工場で穀物を栽培するメリットはあるのでしょうか?

まぁ現状で栽培している植物工場が無いことを考えると、課題があることは予想できますよね。

目次

植物工場と露地栽培の違い

まず、植物工場と露地栽培の大きな違いは、環境制御の度合いにあります。

植物工場は、温度、湿度、光、二酸化炭素濃度などの環境条件を人工的に制御する施設です。環境制御が重要な理由は、作物の生育に最適な条件を維持することで、品質の向上と安定生産が可能になるからです。また、外界の影響を受けにくいため、周年・計画生産が可能となり、市場ニーズに合わせた生産が可能になります。

一方、露地栽培は、屋外の自然条件を活かして作物を育てる伝統的な農業の形態です。露地栽培が広く行われている理由は、日光や土壌など、自然の資源を直接利用できるためで、設備投資を抑えられるというメリットがあります。しかし、天候の影響を大きく受けるため、安定生産が難しいというデメリットもあります。

小麦・大豆栽培における植物工場の課題

1. 光量の確保とコスト

小麦や大豆は、他の野菜と比べて、生育に多くの光を必要とします。特に、生殖成長期(開花から登熟期)には大量の光が必要です。しかし、植物工場で穀物の栽培に必要な光量を人工光でまかなうには、膨大な電力が必要になります。これが、コスト面での大きな課題となっています。

2. 生育期間と栽培スペースの効率性

小麦や大豆は、野菜類と比べて生育期間が長く、背丈も高くなります。小麦の場合、播種から収穫まで約6ヶ月、大豆は3〜4ヶ月かかります。また、小麦の草丈は1m以上、大豆も60〜70cmほどになります。

これは、実をつけるために長い生育期間を必要とするためです。そのため、植物工場の限られた空間を効率的に使いにくいのです。栽培スペースを無駄なく活用するには、背丈が低く、短期間で収穫できる葉物野菜などが適しています。

3. 販売価格とのバランス

現在の植物工場は、イチゴなどの高収益作物での採算性を重視しています。これは、高い初期投資と運営コストを回収するには、高い収益性が必要なためです。また、葉物野菜の場合は、早い生育期間で高回転を実現することも重要視されています。

しかし、小麦や大豆の市場価格は野菜と比べて低く、大量生産が可能で需要に対して供給が潤沢なため、植物工場での生産コストを上回ることが難しいのが現状です。

また、植物工場野菜の価格競争は激しく、大規模化が必要とされています。これは、規模の経済性を活かして、コストダウンを図る必要があるためです。しかし、小麦や大豆は植物工場に適さない特性があるため、大規模化しても効率的な生産が難しいのです。

植物工場での小麦・大豆栽培の将来性

現状では、植物工場での小麦・大豆栽培は経済的に成り立ちにくいと言えますが、将来的には可能性があるかもしれません。

ただし、近年の植物工場では、他の葉物野菜などの採算性も厳しい現状があります。小麦や大豆の植物工場栽培が現実のものとなるには、かなり遠い未来になるかもしれません。

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ただ、植物工場の技術は日々進歩しています。省エネルギー技術や低コスト化技術の開発が進めば、コストが大幅に下がり、穀物栽培にも活用される可能性があります。

また、宇宙空間など、地球上の露地栽培が困難な環境での食料生産には、植物工場の技術が活用される可能性もあります。そこでは、コストよりも安定生産が重視されるため、植物工場の強みが活かせるかもしれません。

まとめ

植物工場での小麦・大豆栽培は、現時点では経済的に成り立ちにくいのが現状ですが、遠い将来には可能性があるかもしれません。将来の食料安定供給のために、植物工場の可能性を追求し続けることが重要だと思います。

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植物工場で作れるものは何ですか?

植物工場では主に葉物野菜の栽培が行われています。レタスやホウレンソウ、サラダ菜などが代表的です。これらの野菜は、短期間で収穫できるうえ、単価も比較的高いため、植物工場に適しているのです。
また、トマトやイチゴなどの果菜類、ハーブ類なども栽培されています。これらは付加価値が高く、植物工場での栽培のメリットを活かせる品目だと言えます。
一方、穀物については、コスト面や栽培の効率性の問題から、現状では植物工場での栽培は難しいとされています。しかし、将来的には技術の進歩によって、穀物栽培も可能になるかもしれません。宇宙空間など特殊な環境での食料生産には、植物工場の技術が活用される可能性があります

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