-
植物工場内でシャトルラン!体力の限界に挑んだ話
-
「CO2濃度1000ppmで呼吸困難!?」
-
塩素ガス vs 私の副鼻腔 汗と涙と鼻水の戦い
-
気温が50℃の植物工場
-
ボディブローを食らって、工場の床でブッ倒れた時の話
-
環境制御対応型・人員配置・コスト計算統合ファイルver2.xlsx
-
「作ったけど誰も見ない」悲しき作業マニュアルの新常識
-
湿度100%の植物工場で遭遇したもの…
-
植物工場を襲った虫の大軍との壮絶一日戦争録
-
ガラスの雨が降る植物工場~蛍光灯崩壊の悲劇~
-
植物工場の立ち上げ秘話 〜現場での絶妙な立ち回り方〜
-
FAXー農業分野で大活躍の通信手段
-
工場立ち上げで体験した地獄の60時間労働
-
ベッド掃除を忘れて1ヶ月間放置したときの話
-
「改善改善って言うけど、私たちが遅いってこと?」
-
私が植物工場業界に入って感じたこと
-
フル生産をしている植物工場が限界を超えるとき
-
チップバーンとの壮絶な戦い ~植物工場あるある~
植物工場で小麦・大豆など、穀物の水耕栽培 〜可能だけど誰もやらない理由〜


こんにちは、今村です
今回のテーマは、
植物工場での穀物栽培ってどうなのか?
小麦と大豆などを水耕栽培する可能性について話します。
「いや、ムリでしょ」
と思われるかもしれません。
実際のところ、植物工場といえば、レタスなどの葉物野菜が主流です。
果たして小麦や大豆などの穀物栽培は可能なのか?
また、わざわざ植物工場で穀物を栽培するメリットはあるのか?
結論を言うと、栽培は「可能」です。
しかし今のところ、栽培している植物工場は無いです。
まぁ…つまりそういうことなのです。
植物工場で穀物の水耕栽培は、かなり難しい理由があるんですよね…。
その理由を解説します。
そもそも、植物工場はなぜ葉物野菜ばかりなの?
と、思われる方は、以下の記事もあわせてどうぞ。




秘密は、植物工場と露地栽培の違い


まず前提として、植物工場と露地栽培の違いから説明します。
- 植物工場とは
-
植物工場とは、温度、湿度、光、CO2濃度などの環境条件を人工的に制御する施設のこと。
作物の生育に最適な条件を維持することで、品質向上と安定生産が可能になります。
また、周年・計画生産が可能となり、市場ニーズに合わせられるのが強み。 - 露地栽培とは
-
一方、露地栽培は、屋外の自然条件を活かして作物を育てる伝統的な農業の形態です。
露地栽培が広く行われている理由は、日光や土壌など、自然の資源を直接利用できるから。
つまり、コストが安いってこと。とはいえ天候の影響を大きく受けるため、安定生産が難しいというデメリットも。
はい、ポイントはここなのです。
両者のこの違いにこそ、穀物を栽培する「適性」があるか否かが隠されています。
つまり言いたいことは、植物工場は穀物栽培に向いていないということです。
小麦・大豆栽培における植物工場の課題


さて、植物工場と露地栽培の特性を踏まえて、穀物を栽培できるのかを説明します。
技術的な観点だけで言うと、栽培は「できます」。
ただし、植物工場で穀物を栽培しようとすると、以下のような壁にぶち当たります。
1. 光量の確保とコスト
小麦や大豆は、他の野菜と比べて、生育に多くの光を必要とします。
特に、生殖成長期(開花から登熟期)には大量に光を浴びなくてはいけません。
しかし、植物工場では光にコストがかかります。
穀物栽培に必要な光量を人工光でまかなうには、膨大な電力が必要になります。
これが、コスト面での大きな課題です。
植物工場は電力コストが滅茶苦茶かかります。
どれほどかと言うと、それほど光を必要としないレタスを育てるのでギリギリという感じ。
2. 生育期間と栽培スペースの効率性
小麦や大豆は、野菜類と比べて生育期間が長く、背丈も高くなります。
小麦の場合、播種から収穫まで約6ヶ月、大豆は3〜4ヶ月かかります。また、小麦の草丈は1m以上、大豆も60〜70cmほどになります。
これは、実をつけるために長い生育期間を必要とするため。
そのため、植物工場の限られた空間を効率的に使いにくいのです。
栽培スペースを無駄なく活用するには、背丈が低く、短期間で収穫できる作物が適しています。
つまり葉物野菜が適しているというわけですね。
3. 販売価格とのバランス
現在の植物工場は、イチゴなどで高収益を狙ったり、レタスで高回転率を狙うことが定石です。
しかし、小麦や大豆の市場価格は野菜と比べて低いため、植物工場での生産コストを上回ることが難しいです。
また、植物工場は大規模化が必要とされています。
これは、規模の経済性を活かして、コストダウンを図る必要があるためです。しかし、小麦や大豆は植物工場に適さない特性があるため、大規模化しても効率的な生産が難しいのです。
植物工場での小麦・大豆栽培の将来性
現状では、植物工場での小麦・大豆栽培は経済的に成り立ちにくいと言えますが、将来的には可能性があるかもしれません。
ただし、近年の植物工場では、葉物野菜などであっても採算性が厳しいです。
小麦や大豆の植物工場栽培が現実のものとなるには、かなり遠い未来になるかもしれません。
とは言っても、既存の植物工場で全く利益が出ないわけではありません。
現場のノウハウ次第で収益を高めることは可能です。
そのためには、現場力アップが欠かせませんが、当サイトではそのためのノウハウを提供しています。
もし興味があれば、以下のコンテンツも確認してみてください。
植物工場の技術は日々進歩しています。
省エネルギー技術や低コスト化技術の開発が進めば、コストが大幅に下がり、穀物栽培にも活用される可能性があります。
また、宇宙空間など、地球上の露地栽培が困難な環境での食料生産には、植物工場の技術が活用される可能性もあります。
そこでは、コストよりも安定生産が重視されるため、植物工場の強みが活かせるかもしれません。
まとめ
植物工場での小麦・大豆栽培は、現時点では経済的に成り立ちにくいのが現状ですが、遠い将来には可能性があるかもしれません。
将来の食料安定供給のために、植物工場の可能性を追求し続けることが重要だと思います。
- 植物工場で作れるものは何ですか?
-
植物工場では主に葉物野菜の栽培が行われています。レタスやホウレンソウ、サラダ菜などが代表的です。これらの野菜は、短期間で収穫できるうえ、単価も比較的高いため、植物工場に適しているのです。
また、トマトやイチゴなどの果菜類、ハーブ類なども栽培されています。これらは付加価値が高く、植物工場での栽培のメリットを活かせる品目だと言えます。
一方、穀物については、コスト面や栽培の効率性の問題から、現状では植物工場での栽培は難しいとされています。しかし、将来的には技術の進歩によって、穀物栽培も可能になるかもしれません。宇宙空間など特殊な環境での食料生産には、植物工場の技術が活用される可能性があります
コメント