こんにちは、今村です
植物工場というと、レタスなどの葉物野菜のイメージがありますよね。
でも野菜以外に、果物を栽培することも技術的には可能なんです。しかし、あまり栽培されない理由は、主に採算性にあります。
今回は、果物栽培の採算性について、詳しく解説したいと思います。
植物工場の仕組みと特徴
植物工場とは、環境条件を人工的に制御した施設内で、野菜や果物を計画的に生産するシステムです。多段式のラックを使った垂直栽培が主流で、人工光を使用することで、周年・計画生産が可能になります。
果物栽培が植物工場に不向きな理由
植物工場の多くは、葉物野菜の栽培に特化しています。
果物が植物工場での栽培に不向きな大きな理由は、果物が野菜に比べて多くの光を必要とすること、そして果物の樹高が高くなることです。
こうした果物の特性は、植物工場のコンセプトと合致しないため、効率的な栽培を阻む要因となってしまいます。
垂直栽培の設備と果物栽培の不適合
植物工場の主流である垂直栽培の設備は、野菜(特に葉物)の効率的な栽培に適していますが、果物栽培との相性は良くありません。
果物は生育に伴って樹高が大きくなるため、多段式の棚では栽培が難しいのです。
つまり、大きくなる作物であるほど、棚と棚の間の空間を広げる必要があり、スペース効率が悪化するのです。
果物の光要求量とコスト増大の関係
果物が多くの光を必要とする理由は、果実の肥大と糖度の向上に多くのエネルギーを使うからです。果実を実らせるには、光合成による養分の生産量を増やす必要があり、そのため果物は野菜よりも多くの光を必要とします。
人工光コストの問題
もし人工光だけで果物を栽培しようとすると、野菜の数倍もの光量を長時間照射し続ける必要があるため、光源設備と電力のコストが極端に高くなります。光量コストの増大は、植物工場の収益性を直撃します。
イチゴの例外的な位置づけ
ただし、イチゴは数少ない例外と言えます。イチゴは果実サイズが小さく、光要求量も他の果物ほど高くありません。また、多段式栽培にも適した草姿を持ち、株間を狭められるため、面積効率も高いのです。
近年、イチゴの人工光型植物工場が急増しているのは、まさにこの特性を活かせるからだと考えられます
植物工場の面積効率とメロン栽培の非効率性
植物工場の収益性を左右するカギの1つが、単位面積あたりの収量です。植物工場は施設建設に多額の初期投資を要するため、単位面積から最大限の収穫を得ることが、投資回収の早期実現につながります。
しかし、例えばメロンを植物工場で栽培しようとすると、葉物野菜を栽培するような多段式の設備が使えず、単位面積あたりの収量が大幅に下がってしまいます。つまり、面積効率が低下するのです。
とはいえ、養液を循環させるベッドを何段も積み重ねる必要はないため、果物に特化した設備を室内に作ることも可能でしょう。
メロンの長い生育期間と回転率の低下
さらに、メロンは収穫までに長期間を要するため、施設の回転率も低くなります。1年を通して栽培できないとなれば、施設の稼働率が下がり、初期投資の償却負担が製造原価に重くのしかかることになります。
つまり、限られた施設面積から最大限の収益を上げるには、単位面積と時間を有効活用できる作物を選ぶことが重要です。その意味で、現状の植物工場の設備では、メロンの効率的な栽培は難しいと言えるでしょう。
しかし、植物工場での様々な作物の栽培に通じる、本質的な収益性向上のテクニックもあります。以下は私が持つノウハウを詰め込んだ、集大成のコンテンツです。
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太陽光利用型植物工場での果物栽培の可能性
太陽光利用型の植物工場では、イチゴを含む多くの果物が養液栽培で栽培されています。太陽光利用型は、光コストがかからない分、収益性は高くなります。
太陽光利用型での果物栽培なら、垂直栽培を行わないため、メロンのような果物でも問題ありません。たとえ光要求量が高い作物でも、太陽光を利用できるので、果物を養液栽培するなら有効な選択肢となります。
まとめ:植物工場での果物栽培の可能性と課題
植物工場での果物栽培は、イチゴを除くと、人工光型での事業採算性は厳しいのが現状です。果物の光要求量の高さと樹高の問題から、多段式設備との相性が悪く、生産コストが割高になるためです。
一方、太陽光利用型植物工場では、イチゴをはじめとする果物の養液栽培が行われており、一定の事業性が認められます。高品質・高付加価値な果実の生産により、市場での差別化を図ることが重要です。
いずれにしても、植物工場での果物栽培は、まだ発展途上の分野です。研究開発とマーケティングの両面から、果敢にチャレンジしていくことが必要です。
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- イチゴの植物工場栽培における課題は何ですか?
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イチゴは光要求量や樹高の面で植物工場に適していますが、課題もあります。まず、イチゴは他の果物に比べると光要求量が低いとはいえ、葉物野菜よりは高いため、十分な光量の確保が必要です。また、イチゴは果実の軟化や変形を防ぐため、温度や湿度の精密な管理が求められます。さらに、垂直栽培では株間が狭いため、病害虫が蔓延しやすく、予防と早期発見・駆除が重要になります。
- 植物工場で果物を栽培するメリットはありますか?
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植物工場での果物栽培の最大のメリットは、周年・計画生産が可能な点です。露地栽培では不可能な時期に出荷できるため、市場での差別化につながります。また、施設内での栽培のため、天候の影響を受けにくく、安定した品質と収量が期待できます。さらに、環境制御により糖度等の品質の向上や機能性成分の強化が図れる可能性もあります。
- 植物工場での果物栽培の将来性をどう見ていますか?
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植物工場での果物栽培は、まだ発展途上の分野ですが、将来性は大いにあると考えています。特に、イチゴの成功事例を参考に、他の果物への応用が進むことが期待されます。また、品種改良による植物工場向け品種の開発や、AI・ロボット技術の活用による自動化・省力化など、技術革新によるコスト削減の可能性もあります。市場ニーズを的確に捉えた高付加価値商品の開発と、継続的な技術革新が鍵を握るでしょう。
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