大規模な植物工場ほど稼ぎやすい理由【規模と収益性】

こんにちは、今村です

小規模の植物工場では黒字にできない。と、よく言われます。

実際、植物工場の規模や施設面積は、収益性に大きく影響します。

一般的に、小型の植物工場では黒字化が難しいとされるのは、生産量に対して初期投資や運営コストが大きいためです。

一方で、大規模な植物工場では、スケールメリットを活かして収益性を高めることができます。

この記事では、そういった植物工場の規模と収益性の関係について、詳しく説明していきます。

そもそも植物工場って?という方は、以下の記事も参考にどうぞ。

目次

規模のメリット・デメリット

まずは規模によるメリット・デメリットをまとめます。

メリットデメリット
大規模・面積当たりのコスト削減
・販売力の向上
・人材確保の優位性
・設備導入による生産性向上
・初期投資の増大
・経営リスクの増加
・人材管理の複雑化
小規模・低資金でのスタート
・経営の柔軟性
・特定顧客への特化
・単位面積当たりのコスト高
・販売力の弱さ
・設備投資の制限

植物工場の規模は、収益性に大きな影響を与えます。一般的に、規模が大きいほど、単位面積当たりのコスト削減や、販売力の向上などが見込めます。

「規模の経済」。つまり大規模ほど有利の原則は、植物工場だけでなく、商業の世界では一般的ですよね。

規模によるコストの違い

小型の植物工場では、初期投資が数億円程度であるのに対し、大規模な植物工場の投資額は数十億円規模となります。

しかし、1㎡あたりの建設コストは規模が大きいほど下がる傾向にあります。

また、人件費や光熱費などのランニングコストも、規模が大きいほど効率化できます。

実際のデータから、太陽光型でも人工光型でも栽培実面積が広いほど赤字は減る傾向にあることがわかっています。

規模別の黒字・赤字状況。上から、太陽光型・面積狭、太陽光型・面積広、人工光型・面積狭、人工光型・面積広

人工光型植物工場のコスト構造は、輸送経費を除いて、概ね1/3が光熱水費、1/3が人件費、1/3が減価償却費と言われています。

光源費が光熱水費の6~7割を占め、エネルギーコストは大きな課題です。建築・設備に関わる初期コストも大きいことや人件費も大きな課題となっています。

大規模な植物工場では、自動化設備の導入により、単位面積あたりの生産量を増やすことができます。

これは、栽培するためのベッドなどは増えるが、作業スペースなどは規模に応じて増えるわけではないためです。

つまり、大規模な施設ほど、単位面積あたりの生産性が高くなるのです。

とはいえ、結局は、現場力を高めることも必須なのです。

規模がどれだけ大きくでも、現場力が足りないと収益性は高まりません。

ちなみに、植物工場の収益性を高める具体的なノウハウは、当サイトの以下のコンテンツが強力です。

施設の栽培形態ごとに収益性は全然違う

太陽光型植物工場と人工光型植物工場では、規模と収益性の関係に違いが見られます。

太陽光型植物工場の場合、栽培面積が大きいほど黒字・収支均衡の比率が高くなる傾向があります。ただし、2万㎡以上の面積があっても赤字となる事業者もあり、これは設備投資額が大きくなり減価償却費の負担が影響していると推測されます。

一方、人工光型植物工場でも、栽培面積が大きいほど黒字・収支均衡の比率が高くなっています。ただし、1,000㎡以上の面積があっても赤字となる事業者もいます。

黒字・収支均衡の割合は太陽光型で高く、人工光型で低い傾向にあります。事業形態別の割合は、以下のように示されています。

  • 太陽光型:64%
  • 併用型:69%
  • 人工光型:53%

年間売上も太陽光型・併用型で高く、人工光型で低い傾向にあります。事業形態別の売上平均は以下です。

  • 太陽光型:4.9億円
  • 併用型:2.7億円
  • 人工光型:1.6億円

つまり、野菜は価格競争が激しいので、大規模な植物工場でないと採算がとれにくい状況です。

高額な設備投資とランニングコスト(特に光熱費)が課題であり、レタス以外の品目は栽培ノウハウが十分でないという問題もあります。

参入企業には販路開拓も大きな負担となっています。

それぞれの栽培形態の違いについては、以下の記事でも書いてます。

最適な規模の考察

植物工場の投資判断には慎重を要します。

小規模施設では黒字化が難しい一方、大規模施設では安定した収益を見込める可能性が高まります。ただし、大規模施設では高い初期投資が必要で、資金面のハードルは高くなります。

太陽光型・人工光型ともに、単位面積あたりの収量(単収)が高い事業者ほど黒字・収支均衡の比率が高い傾向にあります。

そのため、基本的にはスケールメリットを活かした大規模工場の方が、事業が安定する可能性は高いでしょう。

植物工場ビジネスへの参入を検討する際は、自社の資金力や販路、栽培ノウハウなどを踏まえ、最適な規模を慎重に見極めることが求められます。

大規模化のメリットを活かしつつ、リスクを適切にコントロールすることが、植物工場ビジネスの成功につながるでしょう。

まとめ

植物工場の規模と収益性は密接に関係しており、大規模であるほど高い収益性が期待できます。ただし、大規模施設では高い初期投資が必要となるため、十分な投資余力がある場合に、大規模施設による参入が成功への近道といえます。また、エネルギーコストや人件費を抑えることも重要なポイントです。

小規模施設では、初期コスト・ランニングコストともに割高になり、黒字化のハードルが高いことを認識しておく必要があります。

なぜ植物工場は規模が大きいほど有利なのですか?

大規模な植物工場では、1㎡あたりの建設コストや人件費、光熱費などのランニングコストを抑えられるスケールメリットがあるためです。また、自動化設備の導入により、単位面積あたりの生産量を増やすことができます。

小規模な植物工場では黒字化が難しいのはなぜですか?

小規模な植物工場では、生産量に対して初期投資や運営コストが大きくなってしまうためです。また、限られた生産量では、販路開拓や価格競争力にも影響が出てきます。

植物工場の最適な規模はどのように決まりますか?

植物工場の最適な規模は、事業者の資金力や販路、栽培ノウハウなどを踏まえて慎重に判断する必要があります。初期投資を抑えつつ、大規模化のメリットを活かせるバランスが重要です。太陽光型と人工光型でも特徴が異なるため、それぞれの特性を理解することが求められます。

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