チップバーンとの壮絶な戦い ~植物工場あるある~

こんにちは、今村です

このコラムは、私の現場経験を中心に書いてます。
10年以上も現場にいると、ホント色々ありますよね。思い出したことを、気ままに書いてます。

まぁ、「へー、他の工場ってそうなんだぁ」みたいな、気楽な感じで読んでください。

目次

チップバーン、その名の恐怖

「また出たぁ~!」

朝の巡回で葉の先端にあの茶色い斑点を見つけた瞬間、植物工場スタッフの心は沈みます。そう、あの忌まわしき「チップバーン」です。

チップバーンが発生すると商品価値が低下するのは言うまでもありません。でも、実はこれって生産性の向上と紙一重なんですよね。「もっと収量を上げたい!」と日々試行錯誤していると、どうしても発生してしまう宿命のようなもの。

まるで株式投資家が「高配当狙いで仕込んだ銘柄が、決算発表直前に急落する」ような、農業版ギャンブルの世界です。攻めた環境設定はビットコイン投資並みにハラハラします。

日に日に増えるチップバーン、そして迫りくる憂鬱

「2日前は5%だったのに、今日は15%になってる…」

日に日にチップバーンが増えていく様子を見ると、心の中でこんなセリフが流れます。

「うわぁ…嫌だなぁ…」

これ以上ない憂鬱な気分になること、植物工場あるあるですよね。同僚の表情も曇りがち。休憩室のコーヒーの消費量も急増する不思議な現象も見られます。(カフェインで憂鬱を吹き飛ばそうという作戦なのでしょうか?)

チップバーンの本当の恐怖 ~数字で見る現実~

現場で働く者として、チップバーンの真の恐怖とは「単調作業時間が無限に延びる」ことではないでしょうか。

例えば、こんな恐ろしい計算をしたことがあります:

1万株を栽培していて、その80%、つまり8000株にチップバーンが出たとしましょう。影響が最も大きいのはトリミング作業で、1株あたり平均5秒の追加作業が必要になります。

8000株 × 5秒 = 40,000秒 = 約11時間の追加作業!

つまり、約2名分の追加人員が必要になるわけです。でも、そんな都合よく「チップバーン対策要員」なんてすぐに手配できるわけないですよね。たいていは「残業のハードルが低い正社員」(なぜか私)が、自分の仕事をほったらかして対応することになります。

悪循環に陥る恐怖

そして最悪なのは、これが毎日続き、常態化すること。本来やるべき「なぜチップバーンが発生したのか」の原因追求や改善活動に時間を使えず、ただひたすらトリミングに追われる日々…。

「チップバーンを改善するはずが、チップバーンに人生を支配されている…」

そんな悟りに達する瞬間がやってきます。これこそが真の恐怖です。

かといって、チップバーンを恐れるあまり、「攻め」の生育改善ができなくなるのも問題です。

「収量を増やせるけど、チップバーンのリスクが上がるなら…やめておこうか…」

こんな決断、めちゃくちゃ難しいですよね。攻めれば攻めるほどチップバーンのリスクは高まる。でも攻めなければ収量は上がらない。まるで崖っぷちの綱渡りのような精神状態で毎日を過ごします。

パニックの瞬間

最も慌てるのは、なぜチップバーンが増えたのか理由がわからない時です。

意図的に「攻め」の栽培をしている時なら、「やっぱり出てきたか」と覚悟もできますが、何の前触れもなく突然チップバーンが増えると…

「何が起きてる?環境制御システムの故障?水質の変化?害虫?呪い?!」

原因がわからないので対応も遅れがち。その間にもチップバーンは増え続け、トリミング地獄へと引きずり込まれていきます。

結局、闘い続ける

結局のところ、チップバーンとの闘いは植物工場の永遠のテーマ。今日も誰かがどこかでチップバーンと格闘しています。

もし朝の巡回で「今日はチップバーンゼロ!」と喜んだ日があれば、それは植物工場勤務における最高の祝日と言えるでしょう。そんな日は是非、写真に収めておくことをお勧めします。きっと二度と来ないかもしれませんから。

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