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ガラスの雨が降る植物工場~蛍光灯崩壊の悲劇~


こんにちは、今村です
このコラムは、私の現場経験を中心に書いてます。
10年以上も現場にいると、ホント色々ありますよね。思い出したことを、気ままに書いてます。
まぁ、「へー、他の工場ってそうなんだぁ」みたいな、気楽な感じで読んでください。
ガラスの雨が降る植物工場~蛍光灯崩壊の悲劇~
「ああっ!」
その悲鳴と同時に聞こえたのは、ガラスが砕け散る「パリーン!」という音。
植物工場内の静寂を破り、その音は天井から床まで響き渡りました。
全員の動きが止まります。誰もが直感的に悟ったのです。
「やってしまった…」
今では懐かしい?蛍光灯時代
最近の植物工場と言えば、LED照明が当たり前になっていますよね。調査によれば、人工光型植物工場の9割以上がLEDを採用しているとか。
しかし一昔前、私が働いていた植物工場では蛍光灯が”主役”でした。蛍光灯と言えば、あの細長い管のような形状。見るからに「割れそう!」というオーラを放っています。
今思えば、それは「蛍光灯交換」という名の終わりなき戦いでした。
蛍光灯交換という名の修行
工場内には何万本もの蛍光灯が整然と並んでいます。
「今日も3本切れてるな…」
毎朝の点検で切れている蛍光灯を見つけるのは、まるで「ウォーリーを探せ」のような忍耐力が必要です。ベッドの端から端まで往復すること数十回。近距離で眩しい光を凝視し続けるため、15分もすると「チカチカ」が始まります。
そして数時間後には…
「あれ?このベッドさっき確認したっけ?」
という記憶喪失状態に。光に当たりすぎて脳が溶けるかと思いました。
しかも1段目や上段のベッドを確認するときの姿勢といったら!腰をひねりながら首を90度曲げ、逆さまに覗き込むという、まるでヨガのポーズのような悲惨な体勢。
「今日の朝はヨガから始めよう!蛍光灯下向きのポーズ!」
なんて冗談を言いながら、毎日続けていました。
交換作業のプレッシャー
切れた蛍光灯を見つけたら、次は交換作業。
これがまた緊張の連続です。蛍光灯を取り外す時のあの「パキッ」という音。毎回「割れたか?!」とヒヤッとします。割れていなくても、新しい蛍光灯を取り付ける際の「カチッ」という音にも毎回ドキドキ。
「今日も無事に終わった…」
そんな安堵の日々を送っていました。
が、ついにその日は来てしまったのです。
悲劇の瞬間
その日、新人の田中くん(仮名)が蛍光灯交換の担当でした。
「気をつけてね、割れたら大変だから」
そう言った私の言葉が終わるか終わらないかのタイミングで…
「ああっ!」
そう、冒頭の悲鳴の主は田中くんだったのです。
彼の手から滑り落ちた蛍光灯は、床に落下する前にベッドの端に当たり、そこで最悪の「パリーン!」という音を立てて粉々に砕け散りました。
そして…何とも言えない沈黙。
田中くんの顔が真っ青になっていくのが見えました。なぜなら、その下には…
ガラスの雨が降る野菜畑
そう、蛍光灯は栽培中のレタスの真上で割れてしまったのです。
ガラスの破片は周囲のベッドに広がっていきました。まるで悪夢のような光景です。
「どうしよう…」
田中くんの小さなつぶやきが、重苦しい空気の中に消えていきました。
対策会議の恐怖
急いで上司に連絡し、緊急対策会議が開かれました。
「破片が付着した野菜が出荷されたら…」
その言葉だけで、全員の表情が凍りつきます。想像するだけで背筋が凍りました。
最終的な決断は…
「落下した可能性がある範囲の作物を全て廃棄」
一本の蛍光灯のために、数十ベッド分の作物が廃棄されることになったのです。
LEDという救世主
この事件から数年後、工場の照明はすべてLEDに置き換えられました。
LED交換作業の簡単さといったら!もう「パリーン」の恐怖とは無縁です。
今では、新人教育で「昔は蛍光灯だったんだよ」と話すと、若い子たちは「へぇ~大変でしたね」と他人事のように聞いています。
あの恐怖を知らない世代が羨ましい…
それでも時々、工場内を歩いていると、あの「パリーン!」という音が幻聴のように聞こえてくることがあります。植物工場のPTSDでしょうか。
LED照明の静かで安全な明かりの下、私は今日も昔を懐かしみながら「ガラスの雨」の恐怖を振り返るのでした。
…でも本当に、LEDになって良かった。心の底から思います。
このコラムの掲載元は、現場力アップのノウハウ集
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植物工場や施設栽培をやられている方は、確認必須です。


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